一生に一度の願いがかなう社も

 

石切神社の百度石
本殿前、参道のど真ん中に建つ「百度石」 画像:Adobe Stock

 改めて絵馬殿を通り鳥居をくぐる。鳥居を過ぎてすぐの場所と本殿前に建てられているのが百度石だ。1日に100度回れば、100日参拝したのと同じとするのが「お百度参り」。百度石を置く神社は数多いが、本殿前に、しかも2つあるところは珍しい。

 

 境内摂末社には水神二柱を祀る水神社、神武天皇を祀る神武社、恵比須、大国主、住吉、稲荷、八幡の神々を祀る五社明神社、幕府への直訴で処刑された江戸時代の庄屋を祀る乾明神社のほかに、穂積神霊社が鎮座する。

 

穂積神霊社。代々宮司を務める「木積(こづみ)」家は、もともと物部氏系の穂積姓を名乗っていたという。

 明治時代初期に当時の石切神社の宮司が、本殿北側に穂積堂という子弟教育の場(現石切小学校の前身)を開くも1970(昭和45)年の火災で焼失。そののちに、穂積堂に祀られていた神霊を再び祀ったのが穂積神霊社だ。

 

 穂積神霊社の鳥居の前には「祈り亀の池」と呼ばれるご利益スポットが。授与所で受け取った陶器の「祈亀」のお腹に願いごとを書いた紙を入れ、池に放つと亀が祈り続けてくれるとか。さらに、穂積神霊社の左には一願成霊尊が鎮座する。その名のとおり一生に一度だけの願いごとをかなえてくれるという。

 

■参道は大阪一の占いスポット!?

 

「石切神社の参道と言えば、これ」と言うほど名物となった占いの店が軒を連ねる。

 石切神社の参道商店街といえば、占いの店が軒を連ねていることで有名だ。これらは1914年に石切駅が開業し、商店街が形成されたころから存在するといわれ、1990年代からその数が増えはじめたらしい。

 

 さらに参道を進むと、食堂や団子や餅、おでんなどを店頭販売する店が増え、食べ歩きする観光客の姿が目立ちはじめる。神社の前には、真新しい雰囲気のカフェもあり、参拝以外の楽しみも多そうだ。

 

ひろうすのお店

なかには「ひろうす(飛龍頭)」(いわゆる「がんもどき」)が名物のお店も。

画像:663highland, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

 なお、石切神社へ向かうには、近鉄奈良線の石切駅だけでなく近鉄けいはんな線(地下鉄中央線直通)の新石切駅も最寄りとなる。石切駅から石切神社までは、徒歩で約10分。一方、新石切駅からだと約5分で到着する。

 

 ただし、新石切駅から神社まではマンションが建つ住宅地。占いや食べ歩きなどを楽しみ、100年以上の歴史がある参道の雰囲気を楽しみたいのであれば石切駅からがおススメだ。

 

石切神社のお正月

お正月には大賑わいになるので少し時期を外してお参りするのが吉。

画像:663highland, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

 実際、取材日が日曜ということもあってか、参道商店街も境内もかなりの混雑。京都や奈良の有名社寺ほどではないにせよ、想像していた以上のにぎわいをみせていた。みんながみんな、でんぼを治しにきているわけではないだろうが、大阪の意外な観光名所といえそうだ。