■地下の「死の国」から訪れた異人?
「ケンタッキーの青い人々」と呼ばれたフューゲイト一族について解説した動画
また、栄養失調や何らかの中毒で肌の色が緑色になったという説も、19世紀アメリカの「フューゲイト一族(The Fugates)」のように、メトヘモグロビン血症で肌が変色することはあり得る。ただ、こちらもフューゲイト一族の異名「ケンタッキーの青い人々」のとおり、緑ではなく青だったので、奇妙な子どもたちの緑色の肌を説明できていない。
では、アグネスの証言どおり二人は「住民全員が緑色の肌を持つ地下世界」からやってきたのか? 確かに当時から今も、二人が異世界から転送されたという説も根強い。
「穴を通じて異界から現れた」「古来、死の象徴とされたソラマメばかり食べた」など、異界、死の世界、つまり地下世界に結びつくモチーフがこの伝説に散りばめられているのも意味深だ。
また、イギリスといえば妖精や『指輪物語』のドワーフ、ゴブリンなどのように地下世界に暮らす”人ならざるモノ”の伝説が数多い国。子どもたちがそうした異人そのものとは限らないが、そうした伝説のもとになった歴史から消えた人々の末裔だったのかもしれない。
■緑色の子どもは○童だった!?

北欧、ノルウェーにも「緑色の子ども」が出現!
画像:shutterstock
さらに、伝説のオカルト研究本『オカルト・クロニクル』(注1)で知られる松閣オルタ氏によれば、実は「緑色の子ども」はイギリスだけでなく、ヨーロッパ全土、さらにはロシアにまで出没しているという。そして、渉猟した資料をもとに松閣氏が挙げた一例に、非常に興味深い描写があった。
注1:洋泉社から刊行され好評を博すも絶版となっていたが、2022年に二見書房から『増補新装版オカルト・クロニクル』として刊行されている。
〈子供の真っ赤な目。濃い緑色の皮膚。髪の毛は黒いが修道僧のように頭頂部がハゲていた〉
〈身長は1メートルほどで手足の指が異様に長く爪はない〉(注2)
注2:上掲書の原点となった松閣氏のサイト「オカルト・クロニクル」より/リンク→https://okakuro.org/green-child-woolpit/
1811年6月、ノルウェーの北の果て、地元では「地下世界に繋がる」とされる滝の裏の洞窟に現れた「緑色の子どもたち」だが、その描写からピンと来た方も多いだろう。そう河童そのものだ。

仮に「緑色の子ども≒河童」となれば、ヨーロッパ全土どころか、日本やアジアまで世界中に緑色の子どもたち伝説が語り継がれてきたことになる。いったいこれは何を意味しているのか?
■緑色の子ども=グレイ(宇宙人)説

グレイ型宇宙人は名前どおりグレイ(左)と言われているが、実は……。
画像:LeCire, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
世界中で出没する子どものような奇妙な存在──といえば、1947年に起きたロズウェル事件をはじめ、世界各地で目撃報告のあるいエイリアン「グレイ」だ。実際、ウールピットの緑色の子どもたちの正体として、以前から「異星人説」を唱える研究者も少なくない。
「でも、グレイじゃ緑色じゃないじゃん!」
とツッコミを入れる読者もいるだろう。しかし、そもそも「グレイ(型宇宙人)」という呼び名が広まる前は、その名も「リトル・グリーン・マン」と呼ばれる緑色の肌をしたエイリアンが一般的だった。とすると、ウールピット村に現れた緑色の肌の子どもたちは地底人でも河童でもなく、異星人だったのか?
もちろん、「鶏が先か卵が先か」ではないが、もともとあった「緑色の肌をしたエイリアン(人ならざるモノ)が存在する」という伝説・伝承をもとに、宇宙人=緑色とイメージづけられたという説もある。
そうすると、むしろ緑色の子どもが本家で、グレイ(型エイリアン)はそのイメージを拝借したということか……とはいえ、前出の松閣氏が報告したノルウェーの事件では、「黒くてピカピカ光る奇妙な衣服を身につけていた」(前掲サイトより)と、まさにエイリアンを思わせる姿が報告されている。
戦争難民、地下世界の住人、妖精、ドワーフ、河童、エイリアン……虚実入り混じる「ウールピットの緑色の子どもたち」の正体。はたして、そのミステリーに答えが見つかる日が来るのだろうか……。