■キム・テリ扮するヒロインとナム・ジュヒョクが演じる苦学生、珠玉の場面

 キム・テリが扮するナ・ヒドはフェンシングに取り組む女子高校生。国家代表になるという目標に向かって、強豪校に転校までしている。とにかく、高校生活のすべてをフェンシングに打ち込んでいる。

 そんなナ・ヒドが出会ったペク・イジンは、経済危機で一家が破産した苦学生だ。ナム・ジュヒョクが傷つくことが多い22歳に扮している。

 こうして、ナ・ヒドとペク・イジンを中心に、『二十五、二十一』では韓国が経済危機に見舞われた1998年を舞台に様々な青春群像が描かれていく。

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 監督と脚本家の才能レベルもきわめて高い。セリフの一つひとつに若者たちの敏感な感性が生かされているし、用意周到な伏線が見事な場面になって次々にドラマが進んでいく流れもいい。

 しかも、各話の最後には、見る人にときめきを残さずにはいられない珠玉の場面が待っている。
例を挙げよう。

 第2話の終盤……ペク・イジンは父親の借金取りに押しかけられて謝ることしかできなかった。その場で彼は「僕は絶対に幸せになりません。苦痛を感じながら生きていきます」と宣言してしまった。偶然見てしまったナ・ヒドはペク・イジンを励まし、「私と遊ぶときだけは、内緒で幸せになるのよ」と言って無邪気な笑顔を見せた。

 人はこんな風にして救われていくのか、と素直に思える場面だった。

 あるいは、第9話のエンディング……ナ・ヒドとペク・イジンは橋の上から大きな虹を見ていた。

 そのとき、ペク・イジンはナ・ヒドのことを「良いところに導いていく才能があるね」と讃え、素直に愛の告白をする。さらに、「虹は要らない」と言った。すると、今まで見えていた虹がスーッと消えていく。ペク・イジンとナ・ヒドは虹の向こうに自分たちの新たな姿を見つめていくのである。

 それはどんな2人なのだろうか。

 まだドラマの途中なので先に触れることはできないが、書き手としてワクワクする思いで究極のクライマックスに思いを馳せている。