■本島から周辺の島へ

 済州本島の周辺には62もの島があり、そのうちのいくつかには船で渡ることができる。『私たちのブルース』で、ジョンジュン(キム・ウビン)とヨンオク(ハン・ジミン)が小旅行をした加波島(カバド)。映画『戀風戀歌』(1999年)でソウルから一人旅でやってきたテヒ(チャン・ドンゴン)と済州の観光案内員ヨンソ(コ・ソヨン)が向かった楸子島(チュジャド/済州と本土の中間地点)や馬羅島(マラド/韓国最南端の島)。どれも魅力的だが、これらの島は渡るのにけっこう時間がかかるので、余裕があるときでないと難しい。

 済州ビギナーにおすすめなのは本島の東端、城山浦港から船で20分の牛島(ウド)だ。筆者が大好きな映画『初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~』(2004年、チョン・ドヨンパク・ヘイル主演)をはじめ、『イルマーレ』(2000年、イ・ジョンジェチョン・ジヒョン主演)、『連理の枝』(2006年、チェ・ジウ&チョ・ハンソン主演)などのラブストーリーが撮影された島だ。また『オールイン 運命の愛』(2003年)、『夏の香り』(2003年)、『私の名前はキム・サムスン』(2005年)、『春の日』(2005年)、『宮~Love in Palace』(2006年)、『ハネムーンゲストハウス』(2021年)など、多くのドラマやバラエティの撮影地でもある。ロケ地めぐりをする人も多いため、他の島と比べると観光整備が進んでいるので旅行しやすい。

牛島行きの船が出る城山浦港へ向かうバス。右手に見えるのが城山日出峰

城山日出峰の全景
牛島の天津港に接岸中の船。城山浦港→牛島は20分弱の短い船旅

 牛島は本島周辺の62の島々のなかではもっとも大きいとはいえ、面積は5.9平方キロメートル、南北の長さ3.5キロ、東西2.5キロしかない。

 島巡りの足には、自家用車、観光バス、電気自動車やスクーター、自転車、マウルバス、循環バスなどがある。初めてなら海岸道路に沿って主な観光スポットを回る「海岸道路循環マウルバス」を利用するとよいだろう。これなら牛島を1時間ほどで一周できる。6000ウォンのチケット1枚で乗り降り自由だ。

本島よりさらに青い牛島の海
『私たちのブルース』のオクドン(キム・ヘジャ)やチュニ(コ・ドゥシム)が飛び出してきそうな牛島の民家
古くから馬産地だった済州。牛島でも何度か在来種やサラブレッドを見かけた。『私たちのブルース』のドンソク(イ・ビョンホン)の華麗な乗馬シーンを思い出す人も多いはず

 牛島で味わってほしいのが、夫婦が牛島産のピーナッツと全羅南道・莞島の米で醸しているタンコン・マッコリだ。ピーナッツらしいコクが感じられるが、甘さは控えめなので、ノドの通りがいい。タンコン・マッコリの醸造所の隣にはカフェ&パブが併設されていて、窓越しに牛島の自然を眺めながらマッコリやコーヒーが飲める。

牛島の新しい名物、タンコン・マッコリ