キム・ゴウン主演のNetflix韓国ドラマ『シスターズ』の終盤、拘置所の門から出て来た者を出迎えた身内が、爪楊枝で刺した豆腐を手渡す場面があった。出て来た者はそれをちょっと照れくさそうに食べる。
初めてこういう場面を見たという人も多そうなので、韓国のこの豆腐の風習について諸説を紹介しよう。
■出所後に豆腐を食べる意味は?
ひとつは、日本で言うお清めの意味。真っ白い豆腐のように生まれ変わって人生をやり直そうというメッセージが込められている。
もうひとつは、暴飲暴食を防ぐ意味。所内では質素な食事をしていたので、出所後はその解放感もあって、むちゃ食いむちゃ飲みをしがちだ。事前に消化吸収のよい豆腐を食べておけば、それを防げる。
そして、もうひとつは、栄養補給の意味。かつては所内の食事ではたんぱく質をじゅうぶん摂れなかったので、それを補う意味で豆腐を食べた。
こういう場合の豆腐は絹ごし豆腐ではなく、木綿豆腐である。絹ごし豆腐では崩れて食べにくい。
ちなみに、韓国の豆腐は種類が豊富で、日本で言う絹ごし豆腐、木綿豆腐以外に、焼いたり揚げたりしても形が崩れない固めの豆腐や、スントゥブチゲに使うおぼろ豆腐のようなものもある。総じて日本の豆腐より大きく、二丁分くらいの大きさのものもある