映画でもドラマでも好きなジャンルが2つある。ひとつはロードムービー、もうひとつはバディムービーだ。ロードムービーは私の本やwebコラムでよく取り上げているが、今回はバディものについて書いてみたい。
バディとは相棒のこと。バディものとは、上司部下、先輩後輩、友人どうしなど2人組が主人公の物語のことで、男2人の場合が多い。もっとも最近は、映画『ガール・コップス』(2019年)のラ・ミラン&イ・ソンギョンのような女2人組の傑作もある。
最近のドラマでいいバディだなと思ったのが、Netflixドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』のジュノ(チョン・ヘイン)とホヨル(ク・ギョファン)のコンビだ。このドラマは徴兵がテーマなので重苦しい内容だろうと思い、何カ月も視聴を敬遠してきたのだが、1話から大変人間味があり、全6話を一気に観てしまった。ただ重苦しいだけのドラマではなかったのだ。
なお、このドラマは脇を固める俳優も充実している。『私の解放日誌』のソン・ソックはジュノの上長役、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で腹黒策士を演じたチュ・ジョンヒョクは兵士役、映画『悪いやつら』や『ソウル・バイブス』のキム・ソンギュンはD.P.の上長役、『冬のソナタ』のキム次長役で知られるクォン・ヘヒョはジュノの父親役、『ナルコの神』でハ・ジョンウのエイ商売の相棒を演じたヒョン・ボンシクは軍の大将役だ。
■ジュノとホヨルのコンビがいい
ホヨルとジュノはD.P.と呼ばれる脱走兵追跡官の先輩後輩の関係だ。バディものでは優等生と問題児の組み合わせが多いが、このバディは明らかに先輩のほうが抜けている。ネタバレを避けて言うなら、このホヨルが除隊後、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』9話の笛吹き男(子供解放軍・総司令官)になったと思えばいいかもしれない。
一方、後輩のジュノは家庭が複雑で屈折しているものの理不尽なことが大嫌い。ホヨルが10しゃべるとしたら、ジュノは2しかしゃべらない。動と静のコントラストが鮮明なバディである。