■二度のラーメンタイムで先輩後輩の距離が縮まる

 この2人が距離を縮め、リラックスした関係になる過程で、ラーメンタイムが2度あるのがおもしろい。
最初(2話)は出会ったばかりの場面。2人が軍の事務所で辛ラーメンを袋ごと食べている。「袋に熱湯を注いで食べると環境ホルモンが溶け出し……云々」と、ホヨルがわけのわからないことを言いながら、軍隊内の人間関係について核心を突いた発言をする。ジュノは風変わりなホヨルにとまどいながらも信頼できる先輩だと思ったようだ。

 二度目(3話)は休暇をもらった2人がホヨル宅で辛ラーメンを食べる場面。ホヨルは、「環境ホルモンのないラーメンを作ります」などと、またどうでもいいことを言いながら、今回はちゃんと鍋でを煮て、卵まで落としている。

 2人の会話は互いの家族のことだ。先輩の質問にぶっきらぼうに答えるジュノに、「まじめに答えろ」とホヨルは怒るが、「軍の外では兄貴と呼べと言ったじゃないですか?」と突っ込み返され、「覚えていやがったか」と小声で返すホヨル。

 こんなふうに冗談めかしながらも、ジュノは自分の家族の問題の核心部分をホヨルに話している。2回目のラーメンタイムで2人の距離は一気に縮まったのだ。

 今後も折に触れ、バディもののコンビの心の機微について書いていきたい。

兵役経験者にとってラーメンは戦友と過ごした日々の思い出と重なる食べ物

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