■文定王后が登場する韓国時代劇3選!

●『宮廷女官 チャングムの誓い』(2003年)

 前半は宮廷料理人として、後半は医官として生きるチャングム(イ・ヨンエ)の波乱万丈物語。文定王后(パク・チョンスク)は、水剌間(スラッカン)時代のチャングムとも面識があり、医女としての才能を認め、国法を犯したチャングムを独断で助けるなど、チャングムの後ろ盾となる聡明な女性として描かれている。

 ちょっと意外だが、「男性なら名君だっただろう」といわれた文定王后の姿を描いたのなのかもしれない。とはいえ、チャングムに世子(仁宗)を鍼で病死にみせかけて殺めてはくれないかと頼む姿があったことも付け加えておきたい。

『宮廷女官 チャングムの誓い』画像出典:MBC

●『天命』(2013年)

 宮廷の陰謀に巻き込まれ、殺人の濡れ衣を着せられた医官チェ・ウォン(イ・ドンウク)の戦いを描く逃亡サスペンス。老いた中宗が世子に譲位を考えていると知り、我が身の保身と息子・慶源大君を王にせんと企む文定王后(パク・ジヨン)の姿が描かれる。

 序盤では、東宮殿の放火事件をもじったエピソードも。ここでは、火の回る東宮殿にわざと現れ、政敵と疑う世子(イム・スロン2AM)を自ら助けようとする母の愛を演じてみせている。

『天命』画像出典:KBS

●『オクニョ 運命の女(ひと)』(2016年)

『チャングムの誓い』を描いた巨匠イ・ビョンフン監督による、監獄生まれの少女オクニョ(チン・セヨン)の波乱万丈物語。息子・明宗(ソ・ハジュン)をも牽制して、権力の座に君臨する毒母・文定大妃をキム・ミスクが憎々しく演じている。

 特に印象的なのは、病に臥せる明宗の見舞いに現れた大妃が、先王毒殺を告白するシーン。「すべてはあなたのためにやったことだ。だから母を理解して。あなたは孝行息子なのだから、病になって母を苦しめるのではなく、母上は悪くないと言って」と、泣くのである。勝手すぎる……。明宗に同情したことはいうまでもない。

『オクニョ 運命の女(ひと)』画像出典:MBC