■40代に突入したが、今も可愛い気のある美形俳優カン・ドンウォン
カン・ドンウォン(1981年生まれ)はモデル出身で、同年代のコン・ユ同様に美形俳優だが、コン・ユにはない可愛らしさがある。それは映画デビュー作『彼女を信じないでください』(2004年)の頃から今も変わらない。そして、そんなキャラを一生演じ続けても許されそうな稀有な俳優だと思う。
おすすめは、北朝鮮スパイに扮した映画『義兄弟 SECRET REUNION』(2010年)。韓国側の情報員(ソン・ガンホ)と呉越同舟するシーンの神経戦は見ものだ。是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』の孤児院出身の青年もカン・ドンウォンらしい役柄で、とても受け入れやすかった。カンヌ国際映画祭はソン・ガンホではなくカン・ドンウォンに賞をあげてほしかった。
■代役の成立しない若き個性派、ユ・アイン
ユ・アイン(1986年生まれ)はまだ30代半ばだが、代役が見つかりにくい明確な個性をもった俳優だ。複雑な家庭で育った若者を演じた『ワンドゥギ』(2011年)や『カンチョリ オカンがくれた明日』(2013年)から一変し、ヤク中の財閥3世に扮した『ベテラン』(2015年)の演技は急成長を感じさせた。
さらに、2018年には村上春樹の短編小説原作の『バーニング 劇場版』でストレスにさらされる若者を、『国家が破産する日』(2018年)ではIMF通貨危機のときに逆張りで成功する金融マンを演じ、個性派俳優としての地位を確立しつつある。
若いときのソル・ギョングにも通じるもやもや感が魅力だが、ソル・ギョングにはない溌溂さも持っているので、今後さらに演技の幅を広げそうだ。