慶尚道人の気質を表す言葉に「무뚝뚝하다/ムトゥクトゥクハダ」という言葉がある。日本語にすると、「無骨」「ぶっきらぼう」「つっけんどん」「不愛想」が近いだろうか。器用に立ち回るタイプとはほど遠い。
日本で言えば、映画『男はつらいよ 知床慕情』(1987)で三船敏郎が演じた無口な獣医や、高倉健が数々の映画で扮した炭鉱夫や鉄道員が、慶尚道男に近いかもしれない。そう、「男は黙って」タイプである。最近の韓国ドラマで言えば、『D.P. -脱走兵追跡官-』でチョン・ヘインが演じた主人公ジュノの寡黙だが芯の強いキャラクターにも、慶尚道的なものを感じた。
ムトゥクトゥクハダは男性に使われることが多い言葉だが、『エージェントなお仕事』で釜山出身という設定だった新米マネージャーのヒョンジュ(チュ・ヒョンヨン)は、不器用で出しゃばり過ぎないという点で、ムトゥクトゥクハダを感じさせるキャラクターだった。
日本でも大阪人がすべてお笑いタレントではないように、愛知県民がすべて倹約家ではないように、韓国の道民性もおおまかな傾向でしかない。偏見につながるのはよくないが、実在の人物を理解するときやドラマや映画のキャラ設定を知るうえで、道民性は興味深い要素のひとつではある。
本コラムでは今後も折にふれて道民性を取り上げていきたい。
●慶尚道、釜山出身の著名な有名人 ※()内は肩書と出身地
パク・チョンヒ(第5代〜9代大統領、亀尾)、ノ・テウ(第11代〜12代大統領、大邱)、ノ・ムヒョン(第16代大統領、金海)、イ・ミョンバク(第17代大統領、浦項)、イ・スンヨプ(野球選手、大邱)、イ・チャンドン(映画監督、大邱)、ソン・ガンホ(俳優、金海)、ファン・ジョンミン(俳優、馬山)、オ・ダルス(俳優、釜山)、ソン・イェジン(女優、大邱)、リュ・シウォン(男優、安東)、ソン・ユナ(女優、金泉)、リュ・スンス(男優、釜山)、キム・ヘスク(女優、釜山)、キム・ヘス(俳優、釜山)、ソン・ヘギョ(女優、大邱)、コン・ユ(俳優、釜山)、カン・ドンウォン(俳優、釜山)、イ・ジュンギ(俳優、釜山)、チョン・ユミ(俳優、釜山)、イム・シワン(歌手、釜山)、ジョン・ヨンファ/CNBLUE(歌手、釜山)、SUGA/BTS(アーティスト、大邱)、JIMIN/BTS(アーティスト、釜山)、V/BTS(アーティスト、大邱)、JUNG KOOK/BTS(アーティスト、釜山)