ヘンソンを中心に、彼女と“母娘”のように暮らす姪っ子ヘイ（ノ・ユンソ）との情愛、惣菜店の財務担当で自閉症スペクトラムの弟ジェウ（オ・ウィシク）との姉弟愛、惣菜店の共同代表でヘンソンの親友ヨンジュ（イ・ボンリョン）との絆と、個性豊かなキャラクターたちとの“温かな情”に、不意打ちにほろりとさせられるのだ。
それもそのはず。本作の脚本を手掛けたヤン・ヒスンのこれまでの作品を見ていただければ、納得だ。
日本でも大ヒットしたイ・ソンギョン&ナム・ジュヒョク主演の青春ラブコメディ『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ』や、破天荒幽霊が恋のキューピットとして活躍する爆笑ロマンス『ああ、私の幽霊さま』（主演はチョ・ジョンソク&パク・ボヨン）、ソ・イングクが一人二役を演じた『ナイショの恋していいですか！？』、日本でもリメイクされた『知ってるワイフ』（チソン&ハン・ジミン）などなど、いずれも笑えて微笑ましく、優しさに溢れている。
心になんらかの傷を抱える主人公たちが、周りの人々の思いやりや優しさに触れながら、成長していくという点も共通しており、見終わった後にじんわりとした余韻と感動が残るのだ。
かつてナム・ジュヒョクが『恋のゴールドメダル』のインタビューで、「ヤン・ヒスン作家の作品はいつか必ず出たいと熱望していた。大切にしたい“家族の情”があり、見ていて癒され、実際に演じながらも癒された」と語っていた。
チヨルが心に抱える傷は何なのか。今後どのようにその傷を克服していくのか。作家の手腕と俳優たちが奏でるアンサンブルの行方に注目だ。
