この半年間、親しい日本人の多くが韓国再訪を果たしている。
私の事務所の代表(日本人男性、埼玉県在住)も先日、釜山・ソウル・大阪の旅を10日がかりで敢行した。日本留学時代、私が住んでいた志木の駅前から深夜バスに乗って大阪まで行き、南港から船中一泊で釜山へ。釜山~ソウルはKTXと飛行機で往復し、再び船で大阪に戻り、新幹線で帰京するという酔狂な旅である。
1989年に初めてソウルに来て以来、頻繁に日韓を往復し、2002年から2014年までは毎年100日間は滞在していた彼の目に、3年2カ月ぶりの韓国がどう映ったのか興味深いので、今回から数回に渡って彼のレポートをお送りしよう。
■大阪から釜山行きの国際定期フェリー、乗船前の映画鑑賞
朝8時、大阪なんば駅近くの道端に降り立つ。バスでは熟睡できず、もうろうとしている。釜山行きの船は15時発なので天王寺駅前で映画を観て時間をつぶす。作品は日本映画『嘘八百 なにわ夢の陣』。韓国と何の関係もなさそうだが、どんな小さな接点でも見逃さないのがプロというもの。主演の中井貴一は、2001年にチェ・ミンシク主演で『ラブレター パイランより』にリメイクされる映画『ラブ・レター』(1998年)の主演俳優である。
そして、同作の監督はデビュー作『ボーイ・ミーツ・プサン』(2007年)で柄本佑と江口のりこを釜山の街をさまよい歩かせ、『カフェ・ソウル』(2009年)で、あの斎藤工に益善洞の路地裏を疾走させた武正晴である。