短期集中型のドラマが人気傾向のNetflixにおいて、全76エピソード編成の長編韓国ドラマ『紳士とお嬢さん』がランキング上位にいるのは、長年の韓ドラLOVERにとって、うれしいような、誇らしいような、一方でちょっと心配になったりと、なんとも妙な気分に陥っている。
苦労が多い大家族が主人公で、若い世代の恋愛や結婚騒動、親子の確執など、オーソドックスな展開(とはいえ、事件はてんこもりなのだが)で、最終的には家族の絆を感じさせる大円団で終わる「週末ドラマ」は、どこか郷愁と定番がもたらす安心感を抱きながら、ついつい見続けてしまう「これぞ韓ドラ!」作品のひとつなのだ。
■Netflix人気急上昇『紳士とお嬢さん』、韓国ではKBS週末ドラマ枠で大ヒット!
『紳士とお嬢さん』(2021年9月〜2022年3月/韓国放送全50話)は、最高視聴率はもちろんのこと、平均視聴率ですら30%台をコンスタントに記録、年間視聴率トップ3の常連である視聴率鉄板枠として知られている、韓国の公共放送局KBSで土日に放送される「週末ドラマ」枠の作品だ。
2021年のKBS演技大賞では、『恋慕』のパク・ウンビン、『五月の青春』のイ・ドヒョンなどを抑え、チ・ヒョヌが堂々の大賞を受賞したほか、脚本家キム・サギョンが作家賞を、ヒロイン役をオーディションで射止めたイ・セヒが新人賞とベストカップル賞(チ・ヒョヌと)などなど、合計7冠を獲得。
さらに、トロット歌手番組からブレイクし、いまや「国民的歌手」の称号を得たイム・ヨンウンのよる初のOST曲『愛はいつも逃げていく』が空前の大ヒットを記録するなど、話題に事欠かない作品だった。ちなみに、イム・ヨンウンは『私たちのブルース』の挿入歌でも知られている。
とはいえ、やはり注目は、いつのまにか3人の子を育てる父親役を演じるようになったチ・ヒョヌだろう。
チ・ヒョヌは1984年11月29日生まれ。ロックバンド(The Nuts)のギタリストとして活動していたが、2003年にタレントオーディションに合格後、俳優としての活動も開始。シットコム『オールドミス・ダイアリー』(2004年)で年上女性のハートを、『黄金のりんご』(2005年)では多くの母親世代の涙を誘うなど、デビュー当時から注目を集めていた。
『マイ スウィート ソウル』『千回の口づけ』などで演じたキャラクターとしてはもちろん、2012年の『イニョン王妃の男』での共演をきっかけにユ・インナのリアル年下彼氏になるなど、元祖「国民の年下彼氏」「癒し系男子」として知られていた人物だ。
除隊後は、『錐(きり)』(2015年)や『ウォンテッド〜彼らの願い〜』(2016年)など硬派なドラマや、ミュージカル『キンキーブーツ』に出演するなど、役の幅を広げていく。
2枚目タイプではないか、どこか母性本能や乙女心をくすぐる人、地元のお兄さん、そんなチ・ヒョヌのさまざまな魅力を引き出したのが今作『紳士とお嬢さん』だ。