ダンダンの父親のスチョル(イ・ジョンウォン)はかつてダンダンを産んだばかりの妻が家出してしまって、ヨンシル(オ・ヒョンギョン)と再婚していた。逆に、家出した女性はアメリカに行って成功し、やがてヨングクのビジネスパートナーとして韓国に戻ってくる。それがエナ(イ・イルファ)であった。

 このエナがヨングクの豪邸にしばらく住むことになり、ダンダンは自分の母親と暮らすことになる。もちろん、ダンダンはエナの素性を知らない。スチョルから「母親は死んだ」と聞かされていたからだ。一方のエナは、やがてダンダンが自分の娘であることに気が付く。こうして2人は「出生の秘密」を抱えたまま複雑な関係に悩まされていく。

 そのダンダンはヨングクとの交際を順調に始めたのだが、ヨングクが1人で山に行った時に転落して記憶喪失になる。ヨングクは22歳までの記憶しか残っておらず、22歳以降の記憶がまったくなくなってしまったのだ。

 このアクシデントを悪用してヨングクとの婚約を強引に進めようとしたのが、室長のサラ(パク・ハナ)であった。実はサラはヨングクの末っ子であるセジョンの実の母親だ。彼女は生まれたばかりの赤ん坊をヨングクの家の前に捨ててしまった過去があり、そのセジョンと一緒に暮らしたいがためにヨングク家で執事になり、さらにはヨングクとの結婚を画策していく。このあたりは話がどんどん飛躍していくが、物語としては痛快な場面がどんどん出てくる。

 さらに、このドラマの一番のお騒がせキャラになっているのが、ヨングクの亡き父親の愛人だったワン・デラン(チャ・ファヨン)である。欲望まるだしで現実にはありえない人物なのだが、ヨングクの妹のセリョン(ユン・ジニ)の実母だけに、ヨングクもむやみに追い出すことができない。

 このファヨンこそが『紳士とお嬢さん』の連続騒動を象徴する登場人物になっている。彼女を道化師と思ってドラマを見ていけば、すべて肯定的にストーリーを楽しんでいける。そこが韓国で高視聴率を獲得した秘訣かもしれない。

 

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