ここからのドヒの反転ぶりが凄まじい。イスルの骨壺の前でドヒはヨンシムとジェミンへの復讐を誓う。その手始めが、人権弁護士のオ・ギョンスク(ムン・ソリ)と組むことだった。
ちょうどソウル市長選挙が始まるときだった。ジェミンが社会福祉家の仮面をかぶって立候補を予定した。すると、ドヒは仇敵とも言えたギョンスクを説得して選挙への立候補を取り付けた。こうしてドヒの一世一代の反撃が始まる……。
■見て楽しむだけでは終わらない!個性派俳優たちが演じる脇役にも注目
このようにあらすじを書いているだけで胸騒ぎが起こる。夜に『クイーンメーカー』を見た後は眠りも浅くなる。単純に「見て楽しむ」で終わらないドラマなのだ。
その中で、腑に落ちない展開にこだわっている自分がいた。
「冷酷だったドヒがどうして反旗を翻したのか。重病の父の退院を強制されるなど代償はあまりにも大きかったが、それでも彼女は歯向かわなければならなかったのか」
その問いの答えが見つからなかった。
納得を得ようとして韓国ドラマが好きな知り合いに疑問をぶつけてみた。こんな回答があった。
「次々にジェミンから発せられた言葉は、まるでドヒが殺したかのような言い方だった。部下の死によって一族の闇に染まっていた自分に気づかされたドヒ。会長からも野良犬のように言われた。結局、人間としての心も失くしていた自分がわかったのかも」
この分析によってドラマ序盤の深淵を覗いた気持ちになった。
自分なりに納得できた後は、ドヒとギョンスクの挑戦を心から応援した。敵はジェミンとヨンシムだけではない。次々に非人間的なキャラが襲ってくる。それに対して2人はどんな奇手で対処していくのか。本当にスリリングな展開が繰り広げられていく。
注目すべきは共演陣だ。イ・ギョンヨン、チン・ギョン、キム・ソニョン、オク・ジャヨンといった個性的な俳優陣が「いかにもこの役が合っている」という適性ピッタリで登場してくる。それがまた『クイーンメーカー』の人物設定の奥深さを象徴している。
●配信情報
Netflixシリーズ『クイーンメーカー』独占配信中
[2023年/全11話]演出:オ・ジンソク『猟奇的な彼女』『初恋は初めてなので』シリーズ 脚本:ムン・ジヨン『君を守る恋〜Who Are You〜』
出演:キム・ヒエ『夫婦の世界』、ムン・ソリ『私たちの人生レース』、リュ・スヨン『TWO WEEKS』、ソ・イスク『スタートアップ:夢の扉』