ユン・ソクホ監督の公式ガイドブックによると、実は当初、主演俳優としてはこのウォンビンをオファーしていたという。だが、ソン・スンホンの強い意向により、ソン・スンホンが主人公の座を掴み、ウォンビンはいわゆる二番手におさまった。
それを申し訳ないと思い、テソク(扮ウォンビン)をできるかぎりカッコよく描くようにしたと、前述の公式ガイドブックで監督が語っていた。テソクは、いわばツンデレキャラで、確かに今見ても魅力的。監督の好意的な演出のおかげもあったとはいえ、ソン・スンホン演じる繊細な主人公ジュンソよりも目立っている部分もあり、この頃から二番手男子は注目を浴びる運命だったのかも。
そんな『秋の童話』、本当に久しぶりに観返したのに、ちょっと観ただけで「ああ、そういやそうだった!」とドラマの内容がすぐに蘇ることに驚いた(正直、『夏の香り』『春のワルツ』に比べると断然に……)。
渡し舟、廃校のアトリエ、「禁じられた遊び」のメロディー、ウンソの「生まれ変わったら樹になりたい」というセリフ、ラストの海辺のおんぶシーンからの衝撃の結末……など、かつて夢中になって観た人は、このキーワードだけで情景が浮かぶはず。
『秋の童話』は、その後、フィリピン、タイ、トルコ、中国などでリメイクされ、つい最近の2019年には中国で映画化もされた。そう考えると、アジアの人々のメンタリティをがっつり捉えたプロットなのだろう。
だが、今回、それらの原作となる韓国版をほぼ20年ぶりに観て感じたのは、かなり古めかしい雰囲気があるな、ということ(実は、当時もちょっとそう思っていた)。このあとの『冬のソナタ』と制作年が2年しか違わなかったんだと、改めて驚いた。テンポも、ものすごくのんびりである。
こうしたノスタルジックな部分を、初めて観る人がどう捉えるのかなぁと思うが、80年代や90年代の風俗を扱うことが韓国ドラマ界で流行している今。『秋の童話』で「これが本物に近い!」という風景を見てみるのも悪くない。
●放送情報
ホームドラマチャンネルにて「四季シリーズ」7月15日(土)より一挙放送
『秋の童話』7月15日(土)より毎週土曜18時30分~(4話連続放送)
『冬のソナタ』8月から放送スタート
『夏の香り』10月から放送スタート
『春のワルツ』11月から放送スタート
*「四季シリーズ」を手掛けたユン・ソクホ監督インタビュー、8月独占放送予定
公式サイト:https://www.homedrama-ch.com/