大ヒット作『シグナル』や『キングダム』を手掛けた脚本家キム・ウニの最新作『悪鬼(あっき)』が、ディズニープラス スターにて独占配信中だ。本作では、映画『お嬢さん』やドラマ『ミスター・サンシャイン』『二十五、二十一』のキム・テリが、“悪鬼”に憑依されたヒロイン、ク・サニョンという難役に挑戦。『椿の花咲く頃』『サイコだけど大丈夫』のオ・ジョンセが、サニョンの悪霊を唯一視認できる民俗学教授ヨム・ヘサンをクールに演じ、新境地を見せている。さらに『D.P.-脱走兵追跡官-』シーズン1や『弱いヒーロー Class1』のライジングスター、ホン・ギョンなど、注目の人気俳優が集結した。

 この話題作『悪鬼』を生んだ、キム・ウニ脚本家に話を訊いた。(記事全2回のうち前編)

●『悪鬼』ストーリー

 裕福ではないが、母親と2人で前向きに生きようと日々頑張っていたク・サニョン(キム・テリ)。ある日、幼いころに死別したと聞かされていた父親が謎多き死をとげたと知らされる。父の家を訪ね、初めて会った祖母から父の遺品として渡された古い髪飾りを見た瞬間、サニョンは人間の欲望に入り込み破滅に導こうとする“悪鬼”に憑りつかれてしまう――。

『悪鬼』(C) STUDIO S. All rights reserved.

■『悪鬼』キム・ウニ脚本家スペシャルインタビュー〈前編〉

――『悪鬼』は民俗学に基づいた韓国型オカルト作品とのことですが、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか?

 私が描きたいと思った鬼や神は世界を破滅に追い込むような巨大な悪というよりは、私たちの生活に密着した存在として描きたかったんですね。その起源を辿ると民俗学にかなり密接に関わっていたので、それらを参考にして、色々と資料を調べたりしました。

――キム・ウニさんは普段脚本を書く際に、伏線や小道具を決めて結末ありきで書かれているのか、キャラクターが動いてストーリーを進めていかれるのか、どういう形で書き進めていらっしゃるのでしょうか?

 それは本当にケースバイケースですね。まずキャラクターがこういう風に成長を遂げていけばいいなと考えて小物を採用するケースもあれば、小物が頭に浮かんで、その後にキャラクターを描いたり。どちらが正解とは言い切れないですね。

 今回もいろんな小物が登場しますが、民俗学が土台になっていますので、例えばいまはあまり使われていないけれど、かつては使われていた物。もう馴染みはないけれど、なんとなくどういう所に使われるのか分かるような物。今回の場合はテンギという髪飾りが出てくるんですけども、景福宮(キョンボックン)にある国立民俗博物館などに行けば見られるものですが、現代の実生活ではもう使われていない物ですよね。青い甕(かめ)の欠片とか、今見たら何となくは分かっても、使われていない物を結構採用していると思います。