今年4月1日から、日本人はK-ETAをとる必要はなくなったが、K-ETAのシステムがなくなったわけではない。
この渡航許可証は、アメリカのEstaに似た入国管理システムだ。ビザを免除する国籍の人たちが、事前に渡航許可をネットで申請するもの。
韓国のK-ETAも同じような経緯でスタートした。コロナ禍の入国規制として、韓国は日本人に対してもビザを課し、入国を管理した。感染が落ち着き、ビザ発給も緩和され、韓国大使館前にビザを申請する人の長い列ができたことを覚えている人もいるかもしれない。
その後、入国規制はさらに緩和され、ビザをとる必要はなくなったが、それに代わるものとしてK-ETAが新設された。申請料金は1万ウォン、約1100円かかった。昨年は、韓国に入国するにはK-ETAが必要だったから僕も取得した。
ところが今年の4月、K-ETAも必要なくなってしまった。
「それはないでしょ」
と思った。K-ETAの有効期間は2年でまだ残存期間は残っている。K-ETAは必要ないが、このシステムは存続している。いまでもとることができる。これに対して、韓国政府は、「入国カードを書かないでもいいというメリットがある」と説明しているが、どこか釈然としない思いはある。
このK-ETAも、宿泊先の申請で苦労した。Q-CODEと同じスタイルだったからだ。そして厳密なルールでいうと、2回目以降、韓国に入国し、最初に申請したときと違う宿に泊まるときは、ネット上で宿泊先の変更届を出さなくてはいけないことになっている。
しかしそのあたりは拡大解釈が通用する。コロナ禍のなかで新設されたK-ETAは、宿泊先にこだわっていた。しかしいまとなっては、それは重要なことではない。優先順位がさがるなかで、「実際の宿泊先が変わっても、そこはチェックしない」という暗黙のルールのようなものができあがっている。
実際、K-ETAをとってから、僕は数回、韓国に入国している。そのつど、泊まる宿は違ったが、変更届は出していない。イミグレーションでも指摘されていない。K-ETAはコロナ禍の置き土産のような感すらある。