■「悲劇の王」朝鮮王朝第6代王・端宗ゆかりの地

 西江の川沿いには朝鮮王朝第6代王・端宗(タンジョン)ゆかりの清冷浦(チョンニョンポ)がある。端宗の父・文宗(ムンジョン)は、王位に就いて2年あまりで亡くなったため、端宗はわずか12歳で第6代王となった。

 幼い端宗をサポートするという名目で、叔父の首陽大君(スヤンデグン・後の第7代王・世祖)が政権を掌握。王位を奪われた端宗は、清冷浦に流刑されそこで2ヶ月を過ごし、その後17歳の若さでその生涯を閉じた。端宗が「悲劇の王」と呼ばれる所以である。

 三方を西江に囲まれ、南西側には険しい山がそびえ立っているという立地が、清冷浦が流刑地であったことを物語っている。

 北側の岸から渡し舟で5分の清冷浦へ向かう。端宗の住まいだった建物には、質素な家具や生活用品、そして幼い端宗の再現人形が展示されている。その姿があまりにも不憫で、端宗の短すぎる生涯を思うと知らぬ間に涙がこぼれていた。

 端宗は、清冷浦から車で北へ5分ほど行った荘陵(チャンヌン)に眠っている。「陵」というのは王の墓のこと。亡くなってから240年あまり経った後に王に復位し、王陵に埋葬されたという史実も哀しい。
荘陵の周囲にある松の木は、全て陵墓に向かってお辞儀をするように曲がっているという。

王位を剥奪され流刑された朝鮮王朝第6代王・端宗の再現人形が哀しい

●寧越へのアクセス

 ソウル清凉里駅から寧越駅までムグンファ号(列車)で約2時間10分