3つめは、笄礼(ケレ/女性の成人の儀)のエピソードだ。式の練習のため髪を結い上げたドギムを見て、王様の寵愛を受けたのかと誤解して動揺するサンの人間味溢れる姿にほくそえんでしまう。
加えて、笄礼のために世孫に1人1人食事を運び、挨拶をする場面では、サンの母・恵嬪ホン氏の策略により、はからずもサンはドギムの心を傷つけてしまう。目の前にいる宮女がドギムと知らず、宮女と近しい関係になることは絶対にない、とサンは冷たく言い切ってしまうのだ。身分差ロマンスの切なさがここに凝縮されている。
ちなみに原作では、笄礼のくだりがより詳細に描かれ、2人にとっての忘れられないエピソードとなっている。
4つめは、なんといっても、英祖の叱責に耐えるサンのつらさをドギムが知る場面だ。
障子越しに詩を読み、サンを激励するドギム。「私にできることはありますか?」と問う彼女に、「そばにいてくれ」と告げるサンの切実な思い。「私はこの国の世孫だ。いずれ力を得る」と、王になる者としての強い決意をドギムに語るサンを、迫真の演技で魅せたジュノに心震える。
実は、原作では英祖はほとんど出てこず、この場面もドラマオリジナルのもの。ジュノの感情のすべてを注ぎ込んだ圧巻の演技もあり、サンが背負う心の傷とプライド、重責を浮き彫りにする名場面となった。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]※TV放送は全27話
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
DVD&Blu-ray販売元 : NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン