赤い袖先』で名君イ・サンを演じた2PMジュノの初主演ドラマ『ただ愛する仲』(2017年)。ショッピングモールの崩壊事故で家族を失ったハ・ムンス(ウォン・ジナ)とイ・ガンドゥ(ジュノ)が偶然出会い、同じ痛みを抱えた同士、徐々に惹かれ合っていくという切ないラブストーリーだ。

 破天荒ながら正義感の強いムンスをジュノが魅力的に演じている。また、この作品でドラマデビューしたウォン・ジナは、120倍の競争率を勝ち抜きヒロインに抜擢されただけあり、繊細な感情表現が素晴らしい。

■2PMジュノ初主演作『ただ愛する仲』に登場した釜山・草梁の日本家屋カフェ

『ただ愛する仲』で建築模型製作をしているムンスは、上司で建設会社代表のソ・ジュウォン(イ・ギウ)と車で移動中に工事中の高層ビルを目にする。ムンスは、古い建物を取り壊しては建て直しを繰り返す時世を嘆き、「100年、200年と残る建物があればいいのに」と呟く。

 ジュウォンがそんなムンスを連れて行ったのが、長い歴史を持つ木造建築のカフェだった。

 このカフェは「草梁(チョリャン)1941」。1941年に日本人実業家により建てられた日本家屋だ。20年間も放置されていたそうだが、保存状態がよく必要最低限の補修を行いカフェにリノベーションされたという。

 カフェは釜山駅からタクシーで10分ほどの亀峰山(クボンサン)の麓にある。昔、この山の麓に草梁牧場があったことから、それにちなんで可愛い瓶入りの牛乳がこのカフェのシグニチャーメニューとなっている。

 エントランスには寺院に採用される入母屋(いりもや)屋根が使われ、風格のある佇まいを見せる。玄関を入ってすぐ左手にある来賓を迎えるスペースは洋風建築となっている。

 当時流行した文化住宅と呼ばれる建築様式で、和風住宅の一角に洋風スタイルを取り入れる設計だそうだ。内部には竹が組まれた欄間や明り取りの丸窓が残され、「昭和」を彷彿させる。押し入れだったと思われる場所には畳が敷かれ座席として再利用されている。

カフェのエントランスには入母屋屋根が使われ、風格のある佇まいを見せる
竹が組まれた欄間や明り取りの丸窓が残された「昭和」を彷彿させる店内