朝鮮王朝時代の名君イ・サン(正祖)の若き姿を、1人の女性を愛した男としての側面から描いた大ヒットロマンス史劇『赤い袖先』。
主人公イ・サンを演じたジュノ(2PM)の魅力が炸裂した本作は、稀代の名君が生涯唯一愛したとされる宮女(のちの側室・宜嬪ソン氏)とのロマンスを、胸キュンと切なさの絶妙なバランスで描いた名作だ。
多くの視聴者を虜にした、王イ・サンと、彼に愛された宮女ソン・ドギム。気になる2人のロマンスを、各話ごとに解説する。(本記事はオリジナル版全17話をもとに紹介。TV地上波放送は日本編集版の全27話。※以下、一部ネタバレあり)
■『赤い袖先』第15話「過ちの代償」
●あらすじ
ドギムを強引に引き寄せ、接吻を交わすサン。だが、サンの口から出たのは、王宮を出て二度と目の前に現れるなという言葉だった。早々に王宮を去ったドギムの部屋で、サンは破れた禁書の紙片を見つける。それは、幼い頃に激昂する祖父・英祖からサンを救ってくれたものだった。
1年後、サンは妹・チョンヨン郡主(クンジュ)の屋敷でドギムと遭遇する。私を見ても見ぬふりをしてくれというドギムに、サンは王に命令をするのかと苛立ちを募らせる。そんなサンの冷たい言葉に涙を流すドギム。その後、ドギムは新しくサンの側室となった和嬪(ファビン)つきの宮女として大妃に呼び戻されるのだった。
●見どころ
切ない破局から、再会、愛の確認まで、ハラハラとドキドキが詰め込まれたドラマチックな回。
王命に従い、王宮を去ったドギムだが、サンの新しい側室・和嬪の宮女として再び王宮に。戻ってきたドギムに「なぜ戻った」と冷たく突き放すサンに対し、「私は王様のものではなく、和嬪様の宮女だ」と淡々と返すドギム。「私のものだったことはあるのか」と、静かに怒りをぶつけるサンの悲しみが深い。
一方で、ドギムが和嬪からひどい扱いを受ける姿を目にするや、いても立ってもいられず、和嬪を激しく叱咤するサン。「特別に賜った宮女だ。粗末に扱うな」と和嬪に釘を刺す場面のなんと痛快なことか!
ドギムが憐れな姿で戻ってきたことに苛立ちが隠せないサンは、母・恵慶宮(ヘギョングン)にそのことを訴える。「腹が立つから諦めるのですか?」「心の底から誰かを愛し、家族をつくることが、人間らしく生きる唯一の道です」そう息子サンに語りかける恵慶宮。
サンは王だ。人間である前に王として生きることが当然だとされている。だが、母の想いは別だ。「母は言ってあげたい。サン、幸せになりなさい」――この母の愛に涙させられる。