日本で公開中の韓国映画人生は美しい』は、笑いと涙が交差するハートフルなロードムービーだ。『SKYキャッスル~上流階級の妻たち』のヨム・ジョンアと、『エクストリーム・ジョブ』『ムービング』のリュ・スンリョンが、30年連れ添った夫婦を演じている。

 平凡な主婦セヨン(ヨム・ジョンア)は、亭主関白の夫ジンボン(リュ・スンリョン)、思春期を迎えた息子と娘の4人家族。家族たちはセヨンのことを「家事をする機械」のようにしか考えていない。

 そんなセヨンは、突然余命2ヶ月と宣告されショックを受ける。人生最後の誕生日を迎えるが、家族の誰1人、彼女を祝うどころかその日が誕生日であることすら忘れていた。

 最悪の日常の中で、セヨンが「生きているうちにやりたいことリスト」の最後に書いたのが「愛されること」。高校時代の淡い初恋の相手に会いたいと切望し、ジンボンに初恋相手探しの旅に連れて行くようせがむ。

 渋々それに応じるジンボンの運転で、2人はセヨンの故郷である全羅南道木浦(モッポ)へと向かう。

全長3.23キロの木浦海上ケーブルカーは木浦の代表的な観光スポット

■木浦、甫吉島など地方の美しい風景を楽しめる映画『人生は美しい』

 40代夫婦の青春の思い出シーンが、懐かしのナンバーと共にミュージカル仕立てで描かれている本作。例えば、セヨンとジンボンの初デートの場所だった鍾路3街ソウル劇場の前で、イ・ムンセの「早朝割引」を歌いながら踊る。

「死」という重いテーマながら、観客側も自分の青春時代の思い出と重ね合わせ、思わず頬が緩んでしまうという演出がにくい。

 木浦、釜山(プサン)、忠清北道清州チョンジュ)、全羅南道・海南(ヘナム)のタンクッマウル、ここからフェリーに乗り同・莞島(ワンド)の甫吉島(ポギルド)へと2人の旅は続く。

釜山のシンボル、釜山タワーからはチャガルチ市場や釜山港が一望できる