■済州島はどんな島?名作時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』にも登場

 済州島は楕円形をした韓国最大の島である。周囲は250キロメートル。島の中央に韓国最高峰の漢拏山(ハルラサン)がそびえている。

 漢拏山の標高は1950メートル。これほど高い山が南北を隔てる壁の役割をしているので、島の北部と南部では気候がちょっと違う。実際、南部のほうが気温も2度や3度高いのである。

 北部と南部とでは地形も違う。北部は平坦な海岸線が多いが、南部は絶壁ばかりである。ゆえに、有名な滝は南部に偏っている。一説によると、漢拏山が大爆発したときに、その衝撃で南部が隆起し北部が沈んだという。観光面で恩恵を受けたのは南部で、絶壁の風景は絵になりやすい。

 歴史的に言うと、昔から済州島は「三多島」と呼ばれた。その三つとは、風と石と女、である。

 風と石が多いのは火山を擁する孤島の宿命だ。南海上に浮かんだ島は強風をもろに浴びてきたし、漢拏山の噴火は済州島を溶岩で埋めつくした。

 残りの「女」については、昔から済州島の女性は働き者で生活力があると言われており、女性の存在が目立って数が多いように見えたのかもしれない。

 両親の故郷である済州島で、私が特に好きなのがウェドルゲだ。これは、周囲10メートル、高さ20メートルの奇岩で、海中から空に向かって突き出ている。他の岩に比べて寂しそうに見えるのでウェドルゲ(韓国語で「ひとりぼっちの岩」という意味)と呼ばれた。西帰浦(ソギポ)の港から西に約2キロメートルのところにある。

中央にある奇岩がウェドルゲ

 このウェドルゲでは、『宮廷女官チャングムの誓い』のロケも行われた。このドラマでは、済州島が非常に重要な役割を担っていた。

 罠にはまったチャングムは済州島に流罪となるが、ここで医術を学ぶことによって、再び宮中に戻る機会を得る。まさに、済州島はチャングムにとって復活を遂げる場所として描かれていた。

 このように、済州島は韓国ドラマでも重要なシーンによく出てきて、物語の中で「忘れられない場所」になっている。