この譲寧大君は、朝鮮王朝の3代王・太宗(テジョン)の長男で世子(セジャ/国王の正式な後継者)となっていた。そのままなら彼が4代王になるところなのだが、弟の忠寧(チュンニョン)大君があまりにも優秀なので、自分は身を引いて弟に世子をさせようと思った。そのために譲寧大君は自ら愚かな行為を繰り返して、自分は世子にふさわしくないと世間に思わせた。
実際に、譲寧大君は太宗の怒りを買って世子から外されてしまった。代わりに、忠寧大君が世子に指名された。その人こそ、後の世宗(セジョン)である。
「史上最高の名君」とされる世宗が誕生する裏には、意外な逸話があったのだ。そういう例え話を出しながら会話に説得力を持たせるのが、ミソンの物知りなところなのである。
こうしてみると、ヒョヌの実家の人たちは決して財閥家の連中に負けていない。むしろ、人生の機微をよくわきまえている。
もちろん、ソウルの財閥家とは生活ぶりが極端に違うが、『涙の女王』を見ていて本当に応援したくなるのはヒョヌの実家の人たちだ。
第8話の最後に、財閥家の人々はクイーンズグループの経営権を「乗っ取り屋」に奪われて、行く当てもなく龍頭里に転がり込んできた。それまで露骨に卑下していた田舎の人たちの世話を受けることになったのだ。果たして、どんな展開になっていくのか。ますます『涙の女王』が面白くなってきた。
●配信情報
Netflixシリーズ『涙の女王』独占配信中
[2024/全16話]演出:チャン・ヨンウ『不可殺』『抱きしめたい~ロマンスが必要3』、キム・ヒウォン『ヴィンチェンツォ』『シスターズ』 脚本:パク・ジウン『愛の不時着』『星から来たあなた』
出演: キム・スヒョン『星から来たあなた』『サイコだけど大丈夫』、キム・ジウォン『私の解放日誌』『太陽の末裔 Love Under The Sun』、パク・ソンフン『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』『サイコパスダイアリー』、クァク・ドンヨン『雲が描いた月明り』『ヴィンチェンツォ』