■ドラマや映画によく出てくる強い母親像、『ドクタースランプ』『私たちのブルース

 我が国には地域ごとに、母性や母のたくましさを象徴する風物がある。

 釜山なら、南港に面した魚市場で働くチャガルチアジメの姿がそれだ。

 パク・ヒョンシクパク・シネ主演『ドクタースランプ』の主人公ハヌルの母(演じていたのは釜山出身のチャン・ヘジン)も、夫を亡くしたあと、魚市場で働いて蓄財→食堂開業→練り物工場主へとステップアップしていったことは容易に想像できる。

釜山のチャガルチ市場も女性が主役

 済州なら、海女をしたりミカン農家で働いたりして稼ぐ女性の姿が思い浮かぶ。実際に済州出身の女優コ・ドゥシムが演じたNetflix『私たちのブルース』や映画『初恋のアルバム 人魚姫のいた島』の海女はその象徴的存在だ。

済州の南部で高齢の女性に話を聞けば、大半が海女経験者だ

 38度線を越えて北側に目を向ければ、農作物を大量に自転車にくくりつけて運ぶ女性や、重要な栄養源であるジャガイモを収穫する女性がそれに当たるだろう。

 どれだけITが進化しようが、韓流エンタメが海外で評価されようが、我が国の経済基盤は、こうした汗水流して働く人たちに支えられているのだ。