韓国時代劇青春ウォルダム~運命を乗り越えて~』では、「呪いの書」と「一家毒殺事件」という二つの謎めいた事件が展開を大きく左右しており、世子イ・ファン(パク・ヒョンシク)とヒロインのミン・ジェイ(チョン・ソニ)が協力して真相をさぐっていた。

 そうしたメインストーリーと並行して描かれていたのが、イ・ファンとハン・ソンオン(ユン・ジョンソク)との友情物語であった。なお、本作は『青春ウォルダム 呪われた王宮』というタイトルで、NHK BSP4KとNHK BSで放送中である。(以下、一部ネタバレを含みます)

■パク・ヒョンシク主演『青春ウォルダム』、世子と幼なじみの友情と信頼関係はどうなるのか

 ハン・ソンオンは、イ・ファンの幼なじみであった。2人は子供の頃から宮中で仲良く過ごしていた。それが可能だったのは、ハン・ソンオンが高官の息子だったからだ。彼は大人になって宮中の兵士長になっていたが、父のハン・ジュンオン(チョ・ソンハ)は政府の左議政(チャイジョン)にまで出世していた。

 左議政といえば、領議政(ヨンイジョン)に次ぐナンバー2である。そこまで高い地位にいる父をみならって、ハン・ソンオンも要職を務めながら王朝に忠義を尽くす家臣になっていた。

 しかし、イ・ファンのことを「兄を殺して世子になった」と名指しで非難した「呪いの書」が舞い込んできてから、本来は親友同士だった2人の関係にも変化が生じていた。何よりも、あまりに奇怪な出来事が起こりすぎて夜も眠れなくなったイ・ファンは、誰も信用できなくなってしまった。

 それゆえ、彼はハン・ソンオンにも距離を保つようになった。さらに、「もはや友達とも思っていない」と突き放すような発言もしていた。ハン・ソンオンの失望は大きかった。

 さらに、2人の関係を冷え込ませる事件が起こった。10年前に大規模な反乱を起こして処刑された宋氏(ソンシ)の首領が亡霊となって王家の李氏(イシ)を滅ぼす、という怪文書が市中に出回るようになったのだ。実際に、宮中にあった李(すもも)の木が燃やされる事態も生じた。

 こうした不吉な出来事を調べていたミン・ジェイは、ハン・ジュンオンの関与を疑うようになった。李の木を燃やすための複数の材料を買った形跡があったからだ。そのことを報告されたイ・ファンは重大な決断を下した。それは、ハン・ジュンオンの屋敷の倉庫を調べるということだ。しかし、危険な賭けでもあった。ハン・ソンオンとの決定的な仲たがいを誘発する恐れもあったのだ。

 それでも、イ・ファンは決断した……忠臣ハン・ジュンオンが王家に反旗を翻すはずがない、と確信したからだ。