■『家いっぱいの愛』のすれ違いシーンで思い出す、韓流傑作ラブストーリーの名場面

 2000年前後に韓国のラブストーリーに惹きつけられた日本の人なら、テピョンとミレの前述のシーンを観て、ある映画を思い出したはずだ。9月13日に日本で4Kデジタルリマスター版が公開される映画『シュリ』(1999年)と並んで、日本でも評価の高い名作『八月のクリスマス』(1998年)である。

 証明写真のプリント依頼がきっかけで親しくなった写真館主人ジョンウォン(ハン・ソッキュ)と公務員タリム(シム・ウナ)。夏のある日、重い荷物を持って歩くタリムとスクーターに乗ったジョンウォンがすれ違う。たがいに気がついたが、そのまま走り去るジョンウォン。がっかりするタリム。

 その数秒後、Uターンして近づいてくるスクーターのエンジン音を背中に感じ、タリムは照れ笑いする。

 次作『春の日は過ぎゆく』(ユ・ジテイ・ヨンエ主演)や『四月の雪』(ペ・ヨンジュンソン・イェジン主演)で男女の心の機微を繊細に表現したホ・ジノ監督らしい、韓国のラブストーリー史に残る名場面だ。

●配信情報

Netflixシリーズ『家いっぱいの愛』独占配信中

[2024/全12話予定]演出:キム・ダイェ『じれったいロマンス』 脚本:キム・ヨンユン

出演:チ・ジニ『サバイバー:60日間の大統領』『アンダーカバー ~君を守りぬく~』、キム・ジス『リセット〜運命をさかのぼる1年〜』『ハイクラス〜偽りの楽園〜』、ソン・ナウン『ゴースト・ドクター』『ポジション〜広告代理店の女王〜』、ミンホ(SHINee)『ザ・ファビュラス』『花郎〈ファラン〉』、ユンサナ(ASTRO)『クレイジーラブ』