連日、Netflix人気ランキングトップ10入りしている話題作『家いっぱいの愛』。物語前半のキーパーソンは、主人公一家の父ムジン(チ・ジニ)と、長女の理解者テピョン(ミンホSHINee)だ。

 シングルマザー、クム・エヨン(キム・ジス)とその長女ピョン・ミレ(ソン・ナウン)、長男ピョン・ヒョンジェ(ユンサナASTRO)の前に11年ぶりに現れた父ムジンの過去はだいぶ霧が晴れてきたが、テピョンのほうは新たに父(チョン・ウンイン)との確執が明らかになってきて、余談を許さない状況だ。長女ミレとのロマンスの行方とともに注目すべきポイントである。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『家いっぱいの愛』テピョンの好意を真っすぐ受け入れられない長女ミレ

 今回は本作5話に出てきたテピョンとミレの微妙な距離感にフォーカスしてみよう。

 テピョンとミレはたがいに好意をもっていることを率直に表現していないので、期せずして距離を詰めたり、すれちがったりして、それが観る者をハラハラドキドキさせる。

 5話の前半、退勤後のミレと自転車通勤のテピョンが偶然出逢う。夜は危険だからとテピョンはミレを家まで送ろうとするが、素直になれないミレはそれを断ってしまう。粘ることもなくあっさり去るテピョン。

「さみしい」

 正直な気持ちを心の中で表現するミレ。そこに、チリリンというベルの音とともに再び現れ、ミレの周りを笑顔で旋回するテピョン。うれしいのに、自らのときめきに動揺し、その場を去ってしまうミレ。

 我が国のドラマや映画の恋愛描写もきめ細かくなってきたなあと筆者は思う。

韓国は現実でもフィクションでも男性から女性ヘの告白の仕方がベタですよね。プレゼントとかサプライズもストレートで。まあ、そこが魅力でもあるんですが」

 第一次韓流ブームといえる20年前は、恋愛事情においては明らかに我が国より成熟していた日本の女性からよくこんなことを言われた。今からちょうど20年前の韓国映画『彼女を信じないでください』で、本作が映画デビューだったカン・ドンウォン扮する薬剤師が彼女にプロポーズするシーンはその典型だった。

 あれから20余年。我が国の男性から女性への求愛方法も成熟したのだろうか。いや、こんなことを言っていたら筆者が笑われそうだ。いまや女性から男性に積極的にアプローチする描写も珍しくない時代なのだ。

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