■ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』の大ヒット、そしてSNSの普及
韓国人が料理を文化として見るようになったきっかけのひとつが、イ・ヨンエ主演ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』だろう。
チャングムのサクセスストーリーを楽しむだけでなく、朝鮮王朝で食べられていたものが下賜され、やがて私たちの食文化を構成する要素のひとつになったことを興味深く見たのかもしれない。
それ以降、ブログの普及とともに、専門家だけではなく、一般人が飲食に関する情報を競ってネットに上げるようになった。
2010年の映画『義兄弟 SECRET REUNION』(ソン・ガンホ&カン・ドンウォン主演)には、すでに「マッチプ」(旨い店)という言葉が登場していたし、「モッパン」(グルメレポート)という略語を聞くようになったのもその頃だ。
今では人気店の行列は見慣れた光景だし、多くの韓国人が日本をはじめとする近隣諸国への旅行体験を重ねることで、グルメ志向は国内にとどまらなくなった。今年の1月だけで訪日韓国人は97万人近くに達しているのだ。リュ・スンリョン主演の『タッカンジョン』を見ればわかるように、ドラマに食のインフルエンサーが登場することも珍しくない。
昨年、Netflixで配信された100人の料理人が対決する『白と黒のスプーン〜料理階級戦争〜』は、社会現象になるほど話題となった。同作は今秋~冬にシーズン2も予定されているという。人気歌手ソン・シギョンと松重豊が、日本と韓国で食べ歩きを楽しむNetflixグルメ番組『隣の国のグルメイト』も2月27日から配信される。
『孤独のグルメ』の五郎のような、もの静かな美食家が韓国で人気を得ていることに、韓国人のグルメ志向の成熟を感じるこの頃である。
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筆者には日本だけで40冊以上の著書があるが、その3分の1が飲食に関する内容で日本人の食への関心の高さがうかがえる
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