『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で主人公のウ・ヨンウ(パク・ウンビン)の相手役を演じたカン・テオ出演で話題のNetflixドラマ『ジャガイモ研究所』。物語の序盤、ソウルから来たベクホ(カン・テオ)と、江原道でジャガイモを研究するミギョン(イ・ソンビン)の衝突を見て思い出したのは、Netflix大ヒット作『涙の女王』の中盤で、へイン(キム・ジウォン)らソウルの財閥一家が危機に陥り、地方にあるヒョヌ(キム・スヒョン)の実家に都落ちする展開だ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix話題作『ジャガイモ研究所』、都会を象徴するベクホ(カン・テオ)が田舎で苦労する!?
『涙の女王』のヘイン一家とヒョヌ一家は、『ジャガイモ研究所』のベクホとミギョンのように対立しているわけではなく、ヒョヌ一家がヘイン一家を助ける立場なのだが、ヘイン一家は都落ちした屈辱と不慣れな田舎暮らしで惨めな姿をさらすことになる。
しかし、『ジャガイモ研究所』にやってきたベクホはその冷徹さゆえ、研究所スタッフだけでなく村人からも疎まれ、ひどい目に遭う。
ベクホに扮するカン・テオは、兵役を終えて『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のソフトなイメージから一新。ベクホは心の揺れをほとんど見せず、何に対しても理詰め、機械的に対応する。そんな彼が農作業に駆り出され、泥まみれになる姿にファンは悲鳴を上げるかもしれない。
しかし、その一方で都会人が田舎であたふたする姿を見て、留飲を下げた人もかなりいただろう。韓国は全人口(約51701万人)の約半分がソウルとその周辺に住んでいる極端な一極集中社会だ。
ソウルは勝ち組、地方は負け組と言っては何だが、多くの人がソウルにいないと自己実現ができないという思い込み、強迫観念にとらわれている。日本の人も東京志向が強いとは聞くが、大阪、名古屋、福岡など地方都市にも存在感があり、韓国のように極端ではないだろう。


■もの悲しい架空の逆転劇
ドラマや映画には、現実にはどうしようもない田舎と都会の関係(貧富格差)をひっくり返し、視聴者にカタルシスを与える役割がある。
『涙の女王』では、財閥一家のヘインの父(チョン・ジニョン)がとまどいながら農村の人たちとマッコリを飲んだり、ヘインの叔母(キム・ジョンナン)が田舎の素朴な青年(キム・ヨンミン)とロマンチックな恋に落ちた。
人情ドラマ『私たちのブルース』では、ソウルから済州に都落ちした銀行員ハンス(チャ・スンウォン)が、済州で商売に成功した同級生のウニ(イ・ジョンウン)に金目当てで接近するエピソードがあった。映画『パラサイト 半地下の家族』で貧困家族が、富豪家族の家で豪遊するシーンも印象深かった。
こうした逆転劇は現実にはなかなか見られないだけに、田舎と都会、貧と富という慢性的な二元化にはためいきをつくしかない。
●配信情報
Netflixシリーズ『ジャガイモ研究所』独占配信中
[2025年/全12話]演出:カン・イルス、シム・ジェヒョン 脚本:キム・ホス
出演:イ・ソンビン、カン・テオ、イ・ハクジュ、キム・ガウン、シン・ヒョンスン、ユ・スンモク、クァク・ジャヒョン、ウ・ジョンウォン、ユン・ジョンソプ、ナム・ヒョヌ、キム・ジア、チョン・シネ、ファン・ジョンミン、チャ・ミギョン、ソン・ジユン、ナム・ジョンウ