■ロケ地の全北特別自治道・茅項の魅力とは?映画に登場するペンションに泊まることもできる!
『マスクガール』のコ・ヒョンジョン主演の『浜辺の女』(忠清南道・薪斗里ロケ)、日本の加瀬亮や『おつかれさま』のムン・ソリ出演の『自由が丘』(ソウル北村ロケ)、キム・ミニ主演の『夜の浜辺でひとり』(江原道・三陟ロケ)など、旅心をくすぐる作品の多いホン・サンスだが、短編映画『リスト』は他の作品のように難解ではなく、三人のキャラクターもわかりやすい。しかも、撮影地の茅項(モハン)がとても魅力的に撮られている。
茅項は西海に面した全北特別自治道の西の端、辺山半島の南端にある小さな漁村だ。この十数年間でリゾートホテルやペンションが増えたものの、全州からバスに乗り、扶安(プアン)、格浦(キョッポ)と乗り継いで2時間くらいかかるので、離島に居るような辺境感を味わえる。
『ニュートピア』のパク・ジョンミンと『破墓/パミョ』のキム・ゴウン主演映画『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』はこの辺りの干潟で撮影された。
筆者は茅項に3日間滞在したことがある。季節外れだったこともあり、海辺の居酒屋にたむろしていたのは地元の漁師や農夫、リタイアしてこの地に定着したシニア夫婦や詩人、放浪者など。みな暇を持て余していたのか、ただ、『リスト』や『3人のアンヌ』の撮影地が見たくてやってきた筆者はかっこうのターゲットで、初対面の夫婦や元漁師の家に2泊もさせてもらった。
魚が美味しいのはもちろん、干潟が産する貝類も豊富で、このまま茅項に埋没してしまいたくなるほどだった。韓国人である筆者でもそうなのだから、日本のみなさんが行ったら、さらに歓待されるだろう。これからの季節、ぜひ旅程に加えてもらいたい。

茅項の旅のハイライトは、『リスト』や『3人のアンヌ』にたびたび登場する実在のペンション「ウエスト・ブルー」宿泊だろう。ホン・サンス監督はじめ、『リスト』に出たチョン・ユミ、ユン・ヨジョン、ユ・ジュンサン。『3人のアンヌ』に出たイザベル・ユペール、ムン・ソリ、ムン・ソングン、クォン・ヘヒョらが撮影時に泊まった宿なのだから、興奮せずにはいられない。

●作品情報
映画『リスト』PrimeVideoほか、動画配信サービスで配信中
[2011年/28分]監督・脚本:ホン・サンス
出演:チョン・ユミ、ユ・ジュンサン、ユン・ヨジョン