■人気テジカルビ店があるソウル・永登浦はどんな街?

 永登浦は、25あるソウル特別市の区のひとつで、ソウル市の南西部に位置し、同区の北部は漢江に隣接している。日本統治時代には、日本人が経営する紡績工場などの大規模工場があったため、大勢の日本人が居住していたという。解放後もビール工場や製菓工場など、1990年代後半まで大規模工場が運営され、「工場の町」として発展した。

 永登浦区を代表する汝矣島(ヨイド)は、国会議事堂をはじめ、税務署や電話局、テレビ局など、国の主要機関があり、「韓国のマンハッタン」と呼ばれる、金融の中心地となっている。

 1989年9月、京仁線の開通に伴い永登浦駅が開業、1936年4月にはソウルと釜山を結ぶ京釜線が乗り入れた。平日には4往復、週末には7往復のKTX(韓国高速鉄道)が停車するほか、地下鉄1号線の停車駅でもある永登浦は、ソウルの交通の要衝地としても重要な役割を果たしている。

 永登浦駅にはロッテ百貨店が併設されており、駅前の大通りを挟み向かい側には、複合ショッピングモールのタイムズスクエアがある。

 そんな永登浦に再開発の波が押し寄せている。永登浦駅南側や新吉(シンギル)2地区を中心に、ニュータウン(再整備促進地区)建設事業が推進中だ。再開発により、街並みは変貌しても、活気あふれる食堂と美味しいテジカルビの味は、いつまでもそのままでいてほしい。

かつて部品製造を行う鉄工所が軒を連ねた永登浦・文来(ムンレ)洞

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