『孤独のグルメ』の井之頭五郎こと松重豊と、“バラードの皇帝”で美食家としても有名な歌手のソン・シギョンが、日本と韓国の絶品グルメを紹介しあうNetflix『隣の国のグルメイト』が面白い。なかでも、第7話でソン・シギョンが紹介したソウル・永登浦(ヨンドゥンポ)にある老舗のテジカルビに強く惹かれ、早速訪ねてみた。
■松重豊&ソン・シギョン共演『隣の国のグルメイト』で紹介されたソウルの老舗テジカルビ店を訪問!
ソウル駅から地下鉄1号線で6駅目、約15分で永登浦駅に到着する。『隣の国のグルメイト』で、ソン・シギョンが松重豊を案内した「プイルスップルカルビ」は、同駅から徒歩5分ほど、昔ながらの飲食店やホテルが立ち並ぶ永登浦洞の一角にある。
「ウエイティング必至」とのネット情報を見たので、夜の開店時刻の30分前に店の前に到着。店頭の端末で待機番号4番目をゲットし、開店までの時間を利用して、向かいにあるマートの屋外席で、茹で卵をつまみに缶ビールを飲む韓国式角打ち=「マート飲み」を楽しんだ。

いよいよ開店時刻を迎え、プイルスップルカルビに入店。メニューが韓国産の豚肉を使ったテジカルビひとつしかないのは、味に自信があることの表れであろう。テジカルビを注文すると、たくさんのパンチャン(おかず)がテーブルに並べられる。
炭火の上に載せた網が温まっていることを確認したイモ(食堂の女性スタッフ)が、トングで1枚のテジカルビを掴むと、おもむろに網の上に載せて両面を焼き始めた。
しばらくすると、イモは、トングで掴んだテジカルビをハサミで一口大にカットし、均等に火が通るように、長いトングの柄を利用して、テジカルビを網の上で転がしながら焼く方法を伝授してくれた。
白菜の根元部分をカットしたペチュコリ(白菜のしっぽ)を、火力調整のために炭の上に置いたり、焼けた肉が焦げないように載せる置台にしたりと活用しているのだと、イモが教えてくれた。
テジカルビとは、醤油と砂糖を中心とした調味料に、ニンニクや生姜などの香味野菜を加えたものに、骨付きの豚カルビ肉を漬けて、甘じょっぱい下味をつけたものだ。この店のテジカルビは、砂糖の代わりにフルーツを使っているのだろうか。甘みが控えめで、いつまででも食べ続けたくなる美味しさがある。
サービスで出してくれる牛のともばら肉入りの味噌チゲとコプテギ(豚の皮)の味も格別で、明るく人情味あふれたイモの対応を含めて、ソン・シギョンが松重豊にこの店を紹介したいと思った理由がよく理解できた。