韓国南西部に位置す全北特別自治道(旧・全羅北道)の中心地として、また、朝鮮王朝を開いた李成桂の一族発祥の地(本貫)として1000年以上の歴史を誇る街・全州チョンジュ)。ソウルからは高速鉄道KTXで2時間弱、長距離バスを利用すると3時間弱の距離にある。

 全州は「食の都」、「音楽の都」として知られているほか、中心部には伝統的な建物である韓屋(ハンオク)がまとまって残り、国内外から多くの観光客をひきつけている。

 伝統を感じさせる街並みを生かし、『雲が描いた月明り』(2016年)、『赤い袖先』(2021年)、『恋慕』(2021年)といった時代劇はもちろん、『その年、私たちは』(2021年)、『二十五、二十一』(2022年)など現代を舞台にしたドラマの撮影も行われている。

■「全州国際映画祭」開催!開幕セレモニーには演技派俳優キム・シンロクソ・ヒョヌらが登場

 そんな全州で毎年、春に行われているのが、全州国際映画祭。26回目を迎えた今年は4月30日から5月9日にかけて行われた。韓国では、秋に開催される釜山国際映画祭に次ぐ規模を誇る映画の祭典で、インディペンデントや実験精神に富んだ映画に注目し、新たな才能を発掘してきた。

 今年のキャッチフレーズは「私たちはいつも境界を越える」。韓国の作品では、児童保護施設から退所しなければならない年齢となった若者たちが主人公の『命の恩人』や『キャリーケースを引く少女』など、厳しい社会の現状を写す作品が目立った。

 フィクションはもちろん、ドキュメンタリーやデジタルリマスタリングした名作の上映など、幅広い作品を楽しむことができる。

 4月30日に行われた開幕セレモニーではドラマ『財閥家の末息子~Reborn Rich~ 』(2022年)のキム・シンロクと『熱血司祭 シーズン2』(2024年)のソ・ヒョヌが司会を担当。オープニング作品のルーマニア映画『Kontinental '25』を皮切りに世界57カ国から集まった224本の映画が上映された。

司会のキム・シンロクとソ・ヒョヌ(C)JEONJU IFF