実在する2名の名棋士の出会いと葛藤を描いた話題の映画『スンブ: 二人の棋士』が、Netflixで配信中だ。
本作は、世界トップクラスの棋士、チョ・フニョン(イ・ビョンホン/『イカゲーム』『私たちのブルース』『ミスター・サンシャイン』)と、小学生時代から大人顔負けの囲碁を打ち、やがてフニョンの内弟子となる若手棋士イ・チャンホ(ユ・アイン/『地獄が呼んでいる』『ベテラン』)という2人の関係が、師弟からライバルへと変化していく過程を丁寧に描いた作品だ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■イ・ビョンホン&ユ・アイン共演映画『スンブ: 二人の棋士』ストーリー&見どころ紹介
●『スンブ: 二人の棋士』ストーリー
囲碁の世界大会で韓国初の優勝を果たしたチョ・フニョン(イ・ビョンホン)は、ある日、囲碁を始めて半年にも拘わらず、“神童”と呼ばれるほどの棋才をもつ小学生、イ・チャンホ(キム・ガンフン/『財閥家の末息子』『椿の花咲く頃』)に出会う。
チャンホの才能を見初めたフニョンは、彼を内弟子に迎え、囲碁だけでなく、対戦相手への礼儀から体力作りまで、厳しく指導を重ねる。
やがて青年になったチャンホ(ユ・アイン)は、フニョンの強気で攻める“動”の囲碁に対し、耐えて守る“静”の囲碁を貫く。日に日に力をつけ、順当に勝ち進むチャンホは、ある日遂にフニョンと決勝で対決することとなる。勝負の行方はいかに……。
●『スンブ: 二人の棋士』見どころは?
チョ・フニョンは、“囲碁の皇帝”との異名をもつほど、囲碁の世界では神と崇められる人物だ。実は、チョ・フニョン本人が、ある有名なドラマにカメオ出演している。
そのドラマとは、囲碁の世界から脱落した主人公が、商社にコネ入社し、その新たな舞台で成長していく姿を描く『ミセン-未生-』だ。
同ドラマの第3話で、プレゼンの準備に疲れ果て、デスクで居眠りするチャン・グレ(イム・シワン)が見た夢の中で、幼いグレが憧れる棋士のひとりとして登場する。チョ・フニョンが、グレの手に自分の手を優しく重ね、碁盤に碁石を置く手を誘導するというシーンだ。
『スンブ: 二人の棋士』でイ・ビョンホンが演じるフニョンは、自分の囲碁の実力におごり高ぶる幼い日のチャンホを、まるで父親のように厳しくしつける。その教えにより、青年になったチャンホは、礼儀をわきまえ、冷静な分析力を持つ棋士へと育っていく。
そんなチャンホの成長が、のちにフニョンに大きな葛藤をもたらすことになる。師弟関係から、やがて宿命のライバルとなる2人の棋士の戦いから目が離せなくなる。
イ・ビョンホンの存在感ある演技力と、靴紐、たばことキャラメルといったアイテムの使い方が、作品を盛り立て、心に染みるエピソードを作り上げている。
棋士仲間のチョン・スンピル(コ・チャンソク/『恋するムービー』『タッカンジョン』)、チャンホの年上の甥、イ・ヨンガク(ヒョン・ボンシク/『ドクタースランプ』)、フニョンの妻、チョン・ミファ(ムン・ジョンヒ/『天気がよければ会いにゆきます』)、そして、実力派棋士のナム・ギチョル役で特別出演しているチョ・ウジン(『ナルコの神』『ミスター・サンシャイン』)など、脇を固める俳優陣も豪華だ。
監督は、『保安官』に次いで2作目の演出となるキム・ヒョンジュが務めた。監督の考えで、囲碁の知識がない人が見ても楽しめるようにと、囲碁用語の解説字幕を多用したという。そのおかげで、囲碁のルールを知らない筆者でも存分に楽しめた。
●配信情報
Netflix映画『スンブ: 二人の棋士』独占配信中
[2025年/115分]監督:キム・ヒョンジュ 脚本:キム・ヒョンジュ、ユン・ジョンビン
出演:イ・ビョンホン、ユ・アイン、コ・チャンソク、ヒョン・ボンシク、ムン・ジョンヒ、チョ・ウジン、キム・ガンフン