メンコ、だるまさんが転んだ、型抜きカルメ焼き、コンギ(石拾い)……子ども時代の遊びを使って行われる「負けたら死」のサバイバル、とてつもなくイカれたデスゲームがついに決着!
Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン3(最終章)が公開され、世界各国を席巻中だ。本編(S3全6話)はもちろん、456番ことソン・ギフン(イ・ジョンジェ)と、フロントマンこと、ファン・イノ(イ・ビョンホン)、そしてファン・ドンヒョク監督によるのアフタートーク「イカゲーム:監督・出演陣が語る」もぜひご覧いただきたい。なぜこの結末に至ったか、なにに悩みながら演じたかを赤裸々に語っていて実に興味深い。
■モデルを経て俳優へ。1990年代の青春スター、イ・ジョンジェは“暗黒期”をのりこえて『イカゲーム』でワールドスターに!
イ・ジョンジェとイ・ビョンホンはいずれも、1990年代にCFモデルなどを経て、当時、俳優デビューのスタンダードだったテレビ局主催タレントオーディションに合格して俳優キャリアをスタートしている。
青春スターとして愛されるなど、同じようなルートでスター階段をのぼってきた2人。昔から親交もあり、同じ作品『白夜3.98』(1998年)に出演したことはあるものの、対面シーンの経験はなく、『イカゲーム』シリーズでようやく演技で直接向かい合うことになった。
1990年代から韓国では第一線で活躍したスターが、“イケおじ”になってからタッグを組んだ作品で世界に飛躍するというのも、感慨深いのではないだろうか。
イ・ジョンジェは、1972年12月15日生まれ(戸籍は1973年3月15日)の52歳。多くの俳優を輩出している東国大学の演劇学科出身。学費を稼ぐためにコーヒーショップでバイトをしていたところ、スカウトされてモデルに。アルバイトより稼げるとわかり芸能界入りした青年が、最初に注目の的となったのは、放映日に街から人がいないといわれるほどの社会現象となったドラマ『砂時計』(1995年)だ。
軍事政権時代を舞台にした骨太ドラマで、主演のチェ・ミンス以上の注目を集めたのが、ヒロインを守る寡黙なボディーガード役の新人俳優イ・ジョンジェだった。寡黙キャラだったのは、セリフがひどすぎて、監督からどんどんセリフを減らされたというのが真相なのだそうだが、一途にヒロインを守る姿が人気を集め、命を奪わないでほしいとテレビ局に手紙が山ほど届いたというエピソードが残っている。
そんな『砂時計』ブレイクで急増する仕事から逃れるように入隊。除隊後に本格的な俳優活動が始まる。
1999年、その後、無二の親友となるチョン・ウソンとW主演した『太陽はない』で、ようやく演じることの面白さを感じられたというイ・ジョンジェは、この作品で、史上最年少の27歳で青龍祭の主演男優賞を受賞。その後も、のちにキアヌ・リーヴズ主演でリメイクされた『イルマーレ』(2000年)や、イ・ヨンエと夫婦を演じた『ラスト・プレゼント』(2001年)などが日本でも公開され、ファンを獲得していく。
興味深いのは、男性から支持率が圧倒的に高かったことだ。そのしなやかで鍛えられた肉体が作中でも惜しみなく披露されていた。“モムチャン(肉体美がかっこいい人)”俳優の先駆けともいえる存在だ。2005年ごろ、ソウルの眼鏡店に入ったとき、男性の店員さんに「韓国の俳優は誰が好きですか? やはりヨン様? ソン・スンホン?」と聞かれ「イ・ジョンジェ」と答えると、「彼はカッコイイ!」「男が認める男だよ」とお褒めの言葉とサムアップをもらったことを覚えている(ついでに値段のサービスも)。