さらに、身分制度の本質を取り上げていたのが『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』である。
第1話では奴婢のクドク(イム・ジヨン)が虐待されて悲惨な目にあっている。まるで人間扱いをされないという恐怖がそこにあった。彼女は逃亡して数奇な運命によって令嬢のオク・テヨンに生まれ変わる。その後は自らの才能を発揮して村の人々を法律的に助けていく。
見ていると、「身分制度と人間の才能はまるで合わない」とつくづく思う。人の能力を無視する身分制度……生まれながらにして人の運命を決めてしまうこの制度を朝鮮王朝は518年間も頑迷に守り抜いた。
その陰で、どれほど才能豊かな人たちが見殺しにされたのか。そのことを『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』が暗示している。
●配信情報
『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』U-NEXTにて独占配信中
[2024年/全16話]演出:チン・ヒョク 脚本:パク・ジスク
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今回取り上げた三大傑作時代劇が身分制度の抱える矛盾点を主体的に描いているわけではないのだが、ヒロインたちの生きざまを見ていると、人間が生きていくうえではどんな困難があろうと超克していく強い気持ちが大切、と思えてくる。
そういう意味で、三大傑作時代劇が身分制度の超克を現代的な視点で描いていることは間違いない。