Netflixの大ヒットドラマ『愛の不時着』で知られる俳優のソン・イェジンが、韓国釜山で開幕中の「第30回釜山国際映画祭」のトークイベント「アクターズハウス」に出席し、ファンに向けて濃密なトークを展開した。同イベントはメイン会場となる「映画の殿堂」に隣接する東西大学ソヒャンシアター新韓カードホールで開催され満員の観客で埋まった。

■『NO OTHER CHOICE(英題)』出演のソン・イェジンが明かす俳優人生の転換期と『愛の不時着』撮影当時の“幸せな瞬間”

 ソン・イェジンは韓国映画界の巨匠パク・チャヌク監督の最新作『NO OTHER CHOICE(英題)』で主演俳優のイ・ビョンホン演じる製紙会社社員の妻役を務めている。原作は米小説家ドナルド・E・ウェストレイクの『斧』。

 長年勤めた会社を突然解雇された生真面目な主人公が暴走していく姿をブラックユーモアに包んで描いた同作は、第82回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映され、17日に第30回釜山国際映画祭(BIFF)のオープニング作品として上映された。

 劇中で家と子どもを守る決意を固める妻ミリを演じたソン・イェジンは、映画『ザ・ネゴシエーション』(2018年)、ドラマ『愛の不時着』(2019年)で共演した俳優のヒョンビンと2022年3月に結婚し11月に第1子となる男児を出産している。

 ソン・イェジンはデビューから24年間の俳優人生について「自分の演技パターンを克服するため早く年をとって成熟した演技を見せたかった」と振り返り、転換点となった作品として、2005年にソン・イルグクと共演したロマンチックコメディ映画『ナンパの定石』を挙げた。

「当時は私がコミカルな演技をするとは誰も思わなかったが、コミックが何かも分からないまま挑戦し、自由になれた」と語った。

■結婚と出産に「不安があったが、私にできる演技がある」

 一方、結婚と出産を経たことには「以前と同じように素敵な作品で観客や視聴者に会えるだろうかという不安があったが、私にも道があるだろうし、私にできる演技があると思った。スランプや無気力になった際も作品を通して克服した」と赤裸々に明かした。

 『NO OTHER CHOICE』との出会いも幸運だったようで「劇中で私が演じたミリというキャラクターは子どものお母さんという役柄で私も実際に母親を経験している。これまでのように想像だけで演技していたら今回の演技はできなかったかも」と付け加えた。