制作から23年以上経っているが、『冬のソナタ』(2002年)は今でも各地のテレビ局で再放送されている。まさに永遠の名作だ。書籍『韓国ドラマ究極ベスト選 史上最高の韓流傑作は何か』(双葉社)では、筆者が2004年1月にユン・ソクホ監督にインタビューした際の発言を詳しく掲載した。それでも紹介できない部分も多かった。そこで、同書に載せていない発言を改めてここで再現してみよう。(以下、一部ネタバレを含みます)
■最高の傑作『冬のソナタ』主役のキャラ、結末のストーリー、最終ロケ地はどのように決まったのか
――主役のペ・ヨンジュンさんは高校生のチュンサンと10年後のミニョンを演じました。2人は性格もかなり違っていましたが、まったく別人のように描くことで神秘性を持たせようとしたのでしょうか。
「チュンサンと顔が似たミニョンが友人の前に現れるにあたって、この男性は一体誰なのかという疑問があったほうが興味深いのではないですか。ミニョンはチュンサンなのか、あるいは、ただ似ているだけなのか。見ている人はいろいろな想像をすると思います。視聴者の関心を高めるためにも、チュンサンとミニョンのキャラクターを大いに変えてみようと思いました」
――交通事故で記憶を失ったチュンサンが再び交通事故で記憶を取り戻します。現実にはありえないことのように思われますが……。
「この設定は私にとっても非常に心苦しいところです。一度は記憶を失ったチュンサンがどのように記憶を取り戻すか、というのは、ストーリーの上でも難しいシチュエーションでした。いろいろなアイディアを出そうとしたのですが、結局は再び交通事故に遭うという展開になりました。他の描き方はないだろうかと模索はしたのですが、撮影スケジュールが迫ってしまって……。その点では惜しい気持ちがありました」
――結末は当初の予定とはかなり違ったのですか?
「最初の構想ではチュンサンが死ぬことになっていました。死によって永遠の愛を表そうとしたのです。ただし、チュンサンを死なせないで、という視聴者の意見がたくさんありました。私もその反響の多さに驚きました。やはり視聴者の意見を無視するわけにもいきません。たとえチュンサンが死ななくても納得がいく終わり方がないかな、と考え直して、あのような結末になりました」