K-POPアイドルグループ、EXOのD.O.(ディオ)として知られるド・ギョンス。彼はドラマや映画の世界でも個性的な表現者として確固たる地位を築いてきた。主演した『100日の郎君様』は韓国時代劇の新たな地平を切り拓いた名作である。
本作には、Netflix『恋の通訳、できますか?』の通訳士役で人気沸騰中のキム・ソンホも重要な役どころで出演している。評価がとても高いこのドラマを改めて振り返ってみたい。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『100日の郎君様』ド・ギョンスの変幻自在な演技力にうっとりさせられる
ストーリーの軸となるのは、ド・ギョンスが息を吹き込んだ世子イ・ユルである。若くして権力の頂点に近い場所にいながら、彼の瞳には常に虚無感が漂っていた。その冷徹な姿の裏には、幼き日に経験した凄惨な政変という心の傷が隠されていたのだ。初恋の乙女ユン・イソが動乱の中で行方知れずとなった事実は、彼の心を凍てつかせ、さらなる孤独をもたらした。
運命の歯車が、宮廷内で気味悪く動き出す。奸臣たちの毒牙にかかり、イ・ユルは暗殺されそうになる。奇跡的に一命を取り留めるものの、全ての記憶を失ってしまう。かつての高貴な身分を剥ぎ取られた彼は、名もなき村人に拾われ、「ウォンドゥク」という新たな名を与えられた。
こうして、冷徹な世子から一転、世間知らずで役立たずの男として彼は農村で生きていく。そこで妻として迎えたのが、勝気な娘ホンシムであった。演じるのは、演技派として知られるナム・ジヒョンだ。
高慢な態度を崩さないウォンドゥクと、彼に振り回されるホンシムの共同生活は、当初は摩擦と滑稽な衝突の連続であった。しかし、時が経つにつれて、2人の間には言葉を超えた情愛が深く染みわたっていく。
それでも、平穏な日々は長く続かない。覚醒の時が訪れ、ウォンドゥクは再び王宮の重い門をくぐり、イ・ユルとしての己を取り戻す。だが、一度知ってしまった民の暮らしと愛した女性の温もりが忘れられない。
ドラマは終盤に向け、私利私欲に走る悪徳高官との熾烈な戦いが加速していく。イ・ユルは、巨悪を討つべく颯爽と立ち向かう。その姿は、まさに圧巻そのものだった。その果てに待つ2人の愛の結末には、誰もが胸を熱くせずにはいられない。
特筆すべきは、やはりド・ギョンスの変幻自在な演技力である。前半で見せた、村人としてのどこかとぼけた愛嬌。それと対照的に、後半で王宮の陰謀を暴いていく眼光は本当に鋭かった。この鮮やかな対比こそが、視聴者を物語へ引き込む最大の引力となっていた。