●『結婚作詞 離婚作曲』キム・ボヨン、『弁論をはじめます』『スンブ:二人の棋士』チョン・ムソンと共演した『神様こんにちは』(1987年)
身体的なハンデをもった人物をみごとに演じた俳優というと、『オアシス』で脳性麻痺の女性に扮したムン・ソリを思い出すが人が多そうだが、本作でのアン・ソンギはそれに匹敵する。元々、善玉から悪玉、メロウからアクションまで幅広く演じていたが、本作での演技は黄金撮影賞を独占し、ベルリン、モスクワ、日本の映画祭でも上映された。
アン・ソンギ扮する主人公といっしょに旅をしたのは、『結婚作詞 離婚作曲』のキム・ボヨン扮する妊婦と、チョン・ムソン扮する詩人。主人公同様、人の心の痛みがわかるキャラクターで、このトリオの演技が観客の涙を誘った。
●『涙の女王』『北極星』イ・ミスクと共演した『鯨とり コレサニャン』(1984年)
初めてふれた韓国文化がアン・ソンギの映画だったという日本人は少なくない。本作はその代表で、韓国での公開から25年以上経ってから日本で劇場公開された青春映画だ。
アン・ソンギ扮するコミカルな放浪者とともに旅したのは、“小さな巨人”と呼ばれた人気ミュージシャン、キム・スチョル扮する大学生と、『北極星』『涙の女王』で知られるイ・ミスク扮する失語症の田舎娘。ここ数年は凄みのある女帝役のイメージが強いイ・ミスクだが、本作の彼女は純朴そのもので、時の流れを感じさせる。

