話題作『21世紀の大君夫人』は、「もしも現代の韓国に王室制度があったら」という設定で、イ・アン大君(ビョン・ウソク)と財閥令嬢ソン・ヒジュ(IU)の偽りの契約結婚が描かれていく。しかし、その偽りがいつ本物の愛に代わっていくのか。そこが大きな見どころだ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『21世紀の大君夫人』W主演のIUは過去の名作を上回る演技をどこで披露してくれるのか
『ソンジェ背負って走れ』で大ブレイクして、いま最も人気を博しているビョン・ウソク。国民的“歌姫”であり、俳優として数多くの名作でヒロインを演じてきたIU。そんな2人の共演で『21世紀の大君夫人』は大変な話題になっている。
とりわけ、IUは昨年の『おつかれさま』に続く大作の主演で、女優として一番の輝きを見せている。『麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜』『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』など、華々しいキャリアを誇る彼女の出演作の中でも、至高の1本として強く推したいのが2018年の作品『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』である。
『マイ・ディア・ミスター』の物語の軸となる男性主人公はパク・ドンフン(イ・ソンギュン)。建築物の構造計算を担う専門技術者だが、社内抗争に疲れ果てて様々な葛藤を抱え込んでいる。このドンフンの会社で非正規のスタッフとして働くのがIU扮するイ・ジアンである。
ジアンの背負う十字架はあまりにも重い。過酷な生活環境に縛られ、莫大な金銭的負債まで抱え込んでいる。仕方なく、彼女は報酬を目当てにドンフンの携帯電話を盗聴する工作に関与する。それにつれて、ジアンはドンフンのプライベートな領域を丸裸にしていく。
しかし、ドンフンの飾らない本音や隠された優しさに触れるうち、彼女の心境に決定的な変化が生じる。次第に彼への深い理解を示し、いつしか強い感情移入を覚えるようになるのだ。こうしてストーリーは極めて奥深く展開していく。
その中で、IUの豊かな表現力はまさに圧巻の一言に尽きる。魂を削るような熱演に本当に魅了されてしまった。『マイ・ディア・ミスター』は彼女のキャリアにおける金字塔だったと言える。
それから8年、IUは最新作『21世紀の大君夫人』に取り組んでいく。演じるのは財閥令嬢のソン・ヒジュ。誰もが振り返る美しさと明晰な頭脳の持ち主だが、庶子という出自が社会的に彼女の行く手を容赦なく阻んでいた。理不尽な運命を変えたかった彼女は痛快な逆転劇を企てる。
手段として選んだのが、自身の価値を最も高めてくれる相手との政略的な婚姻である。ターゲットになったのがビョン・ウソク扮するイ・アン大君だ。彼もまた、王族という高い地位にありながら深い孤立感を抱えていた。