チン・グ主演『26年 前大統領暗殺計画』(2012年)

 1980年当時の話ではなく、過剰鎮圧の犠牲者たちの遺族3名が事件の26年後、鎮圧の首謀者(名前はボカしてあるが、事実上の全斗煥)を殺害しようとする話。遺族3名には、『太陽の末裔 Love Under The Sun』『THE WITCH/魔女 -増殖-』のチン・グ、『離婚弁護士シン・ソンハン』ハン・ヘジン2AMイム・スロンが扮した。3人は復讐を果たせるのかどうか、ヒリヒリ、ジリジリせずにはいられない作品だ。

 現代史上最大の憎まれ役である首謀者に扮したチャン・グァンは、この前年にも『トガニ 幼き瞳の告発』で嫌悪と憎悪の対象に扮していて、以来、悪役や黒幕を多く演じる俳優として売れっ子に。最近では、『シスターズ』や『暴君のシェフ』にも出演している。

ソン・ガンホ主演『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)

 事件とは直接関係のないソウルのタクシー運転手(ソン・ガンホ)が、過剰鎮圧の実態を報道しようとドイツからやってきた記者を乗せて光州入りする話。当初、学生たちの民主化運動を冷ややかな目で見ていた運転手は、現地で戒厳軍の常軌を逸した鎮圧行動を目の当りにし、市民運動家たちの情熱にふれることで意識を変えていく。

 ソウルのタクシー運転手というよそ者を全羅道らしいごちそうでもてなす、『王と生きる男』のユ・ヘジンと『パラサイト 半地下の家族』のイ・ジョンウンの夫婦役も見ものだ。

2009年に亡くなった民主化の父、キム・デジュンの追悼集会が行われた旧全羅南道庁舎前

●カン・シニル主演『1980 僕たちの光州事件』(2024年)

 光州の中華料理店の店主(カン・シニル)とその次男(ペク・ソンヒョン)、長男の妻(キム・ギュリ)、孫(ソン・ミンジェ)が戒厳軍と市民軍の衝突に巻き込まれてゆく話。戦闘シーンは少なく、映像は素朴だが、平時には安らかだった庶民たちのコミュニティが立場の違いから崩壊していくシーンに胸が痛む。