末娘を殺害した犯人への復讐を企てる母と3姉妹のロードムービー『慶州紀行(原題)』を韓国ソウルの映画館で観賞した。母親役のイ・ジョンウン、3姉妹を演じるコン・ヒョジンパク・ソダムイ・ヨンに加え、極悪な殺人犯役で特別出演したピョン・ヨハンという豪華俳優陣の出演が話題となっている。なお、本作の日本での公開は、2026年9月時点で未定である。(以下、一部ネタバレを含みます)

■映画『慶州紀行』イ・ジョンウンと極悪犯役のピョン・ヨハンの手に汗握る死闘に注目!

 オクシル(イ・ジョンウン)は、夫と4人娘に囲まれ、平凡ながら幸せに暮らしていた。しかし、ある日末娘のキョンジュ(ファン・ヒョンジュン)が修学旅行先の慶州(キョンジュ)から戻ってこなくなる。

 家族の悲しみと憎しみをよそに、キョンジュを殺害した犯人のペク・サンヒョン(ピョン・ヨハン)に下った判決は、家族が到底納得できるものではなかった。

 愛娘を失った悲しみを抱えるオクシル一家。さらに追い打ちをかけるように、オクシルの夫までもがこの世を去ってしまう。

 それから8年。サンヒョンが出所することを知ったオクシルは、長女のジャンジュ(コン・ヒョジン)、次女のヨンジュ(パク・ソダム)、三女のドンジュ(イ・ヨン)とともに、サンヒョンの殺害を計画する。

 ある方法でサンヒョンを拉致した4人は、黄色く古びたバンにサンヒョンを乗せ、ジャンジュの運転で出発する。4人が向かったのは、キョンジュが修学旅行先に選んだ慶州だった。

 ところが、注射で身動きがとれないようにしたはずのサンヒョンが目を覚ましてしまい……。 

映画『慶州紀行(原題)』 画像:LOTTE ENTERTAINMENT

 本作タイトルの「慶州(キョンジュ)」には、末娘の名前と、彼女が行くはずだった修学旅行先・慶州の両方の意味が込められている。

 どうしても犯人を許すことができない母・オクシルに対し、夫と娘がいるジャンジュは、犯人の殺害にためらいを抱いている。

 元テコンドー選手のドンジュは、いざというときにはすぐに身体が動くタイプ。それに対し、法学部出身のヨンジュは、どうすれば家族に罪が及ばないかを考え、緻密な計画を立ててアリバイ工作を図ろうとする。

 それぞれ異なる思いを抱いた4人の旅は、単なる復讐劇ではない。家族の情愛と悲しみを軸に、ブラックコメディの要素も織り込まれている。

 序盤に4人が揃いの文字がプリントされたTシャツを着て登場する姿からは、まさかこれから人を殺めに行くとは想像がつかない。

 サンヒョンを運ぶバンの中に入り込んだ蜂におびえ、大騒ぎして撃退する場面もあれば、バンから道路に落ちてしまったサンヒョンを、村人に見つからないように再びバンに戻そうという場面もある。思わず笑ってしまうシュールなシーンが随所にちりばめられている。