韓国時代劇は配信サービスの隆盛で世界的に人気を博しているが、やはり歴史の知識があったほうが内容をより深く理解できる。そういう意味でタイムリーなのが、歴史エンタメ読本『謎解き!朝鮮王朝 宮廷ミステリー 韓国時代劇の「なぜ?」を解明する』である。本書は、韓国時代劇を見ていて頭の中に浮かぶ不可解な謎を、史実に照らし合わせて丁寧に解き明かしてくれる。

■韓国時代劇で描かれる事件や謎を取り上げた視点が興味深い!朝鮮王朝ヒストリー読本

 本書の持ち味は、韓国時代劇ファンが「本当に知りたい歴史の真実」を、かゆいところに手が届くように解説している点である。波乱万丈な史実が詳細に記録された『朝鮮王朝実録』を通し、朝鮮王朝の重要な事件を丹念に読み解きながらも、決して学術的な堅苦しさはなく、誰もが親しめる平易な文体で書かれている。

 本書は序章から第5章までの構成で、ドラマの背景にある歴史を段階的に深く理解できるよう工夫されている。

 まず序章では、景福宮や昌徳宮など、各王宮の歴史的な成り立ちを紐解きながら、王宮自体が時代劇の世界観をいかに表しているかを解説する。

 第1章では、「ハングル」「官僚組織」「国王の名称」といった、時代劇への知識を深めるための厳選キーワードを提示し、登場人物たちが背負った過酷な運命への共感を誘う。

 第2章からは、具体的な歴史のうねりへと踏み込んでいく。特に読み応えがあるのは、野心的な叔父が幼い甥から非情にも王権を奪い取った凄惨な事件への言及である。

 ドラマや映画でも度々描かれる首陽(スヤン)大君による端宗(タンジョン)からの王位簒奪の背景を明らかにして、非道な国王に対して死を恐れずに痛烈に罵倒した「死六臣」の壮絶な生き様にスポットをしっかり当てた。さらに、処刑されていく忠臣の無念が克明に描かれ、人間が極限状態に置かれたとき、どう生きて何を考えたのかという普遍的な姿をも描き出している。

 第3章では、最悪の暴君や悪女・文定(ムンジョン)王后が支配した世紀に焦点を当て、積年の恨みがいかにクーデターを生んだかをスリリングに解説する。

 第4章は、権力をめぐる私利私欲が王朝を揺さぶった時代を扱う。仁祖(インジョ)と昭顕(ソヒョン)世子の不可解な親子関係、思悼(サド)世子が餓死させられた事件、悪名高き勢道政治の実態など、人間の業が渦巻く宮廷の暗部が克明に記されている。

 そして第5章では、王宮を震撼させた二大スキャンダルとして、正祖(チョンジョ/イ・サン)の毒殺説や張禧嬪(チャン・ヒビン)の死罪といった劇的な愛憎劇の真相に迫っていく。