■日本で最初のストリップショー
車座になった神々の真ん中で、芸能の女神であるアメノウズメが桶の上に乗り、背中をそらせて踊る。薄衣が揺れ、袖が舞い、裾が乱れる。黒髪がなびき、純白の素肌があらわになるという、セクシーなダンスをくり広げる。
その姿に、神々はやんや、やんやの喝さいを送る。
踊りに夢中になってトランス状態におちいったのか、それともさらに場を盛りあげようとしたのか、アメノウズメはオッパイを露出させ、着物の帯を股間まで垂らし、アソコまでさらしてしまった。まさに、現代でいうところのストリップショーだ。
「いいぞ! アメノウズメちゃん!」
「こっち向いて!」
「もっと脱げ!」
……ほぼ昭和のおっさんノリで宴は最高潮。歓声が起こり、なかにはピーピーと指笛を鳴らす神もいたかもしれない。このご時世では“不適切”や“コンプラ違反”どころか、公然わいせつ罪で一発アウトだが、その騒ぎを気にしたのがアマテラスだった。
■勘違いで岩戸から引きずり出される
「わたしが隠れて、みんな困っているはずなのに、この騒ぎは、いったいなんなの?」
好奇心に駆られたアマテラスは、岩のすき間から宴会の様子をのぞく。それに気づいたアメノウズメが機転を利かせて、アマテラスを煽り倒す一言を放った!
「みんなノリノリよ! だってあなたより尊い神が現れたのだから」
最高神を自負し、プライドも高いアマテラスは、「そんな神が存在するわけないじゃない!」と疑いを持つ。するとアメノコヤネとフトダマという神が、あらかじめ用意していた大鏡を掲げた。
鏡に自分の姿が写しだされたアマテラスは、それをアメノウズメのいう尊い神だと勘違いする。そして、もっとよく見ようとして身を乗り出してしまう。その瞬間、力自慢のアメノタヂカラオがアマテラスを引っ張り出し、天岩戸を注連縄で封印した。
こうしてアマテラスは無事に外へと連れ出され、太陽は復活して世界は滅亡の危機を脱したのである。