■地方や海外の怪談も蒐集したいですね
松村 タワマンの怪談ならレパートリーがあるんですけど。某有名デザイナーが設計したタワーマンションの話で、高層階に住むある人が部屋のカーテンを開けたら、ベランダに小石が落ちていたんです。何だろうと思って見ると、石に人の顔のようなものが描いてある。
別の日にまた見たら石が増えていて、気になって隣のベランダを覗いたら、顔の描かれた小石が結構な量積んであった。気味悪く思ってマンションのコンシェルジュに相談すると、隣には誰も住んでいないことが分かった、という話です。
青柳 僕は今年九州に行ってきましたけど、地元で有名な心霊スポットの話とか、その土地ならではの怪談が聞けて嬉しかったです。可能なら海外取材にも行きたいですけどね。こんなことなら真面目に外国語を勉強しておくんだった。
松村 海外の怪談も面白いですよね。ただ人前で喋る時には、あくまで僕がこう聞いた話ですけど、とワンクッションを置いた語りになります。聞きかじりの情報で、この国にはこういう怪異があって、と断言するのもどうかと思いますから。
■1年で怪談100話を蒐集が目標
青柳 僕は1年で100話集めるという目標を立てていて、今年は今で42話。この調子でいけば達成できそうです。
松村 僕は今年で50話くらい。競っている感じですね。青柳さんは小説のお仕事もされているから、それを考えるとリードされているかも。
青柳 怪談取材は「自分にこんなことができるのか?」と半信半疑で始めたんですが、やってみたら次々と話が舞い込んできて、なんとか続けられています。続けていると向こうから「またこういうことがあって」と話しかけてくれたり。10年やったら1000話になりますから、これはもう怪談作家と名乗ってもいいレベルになりますよね。
松村 怪談は数じゃないですけど、いっぱい集まると嬉しいですよね。珍しい昆虫を見つけたみたいに、「まだこんな種類の怪談があったのか」とわくわくする。持ちネタのバリエーションが増えると、お客さんの予想を裏切る話が披露できるようになりますし。