Netflix配信中の新作韓国映画20世紀のキミ』は、配役の組み合わせが絶妙だった。

 主人公カップルの話ではない。「ヒロインの引継ぎ」のことである。

 主役はキム・ユジョンが演じる高校生のナ・ボラ。彼女の1999年の高校生活が『20世紀のキミ』の主な舞台になっている。そして、序盤の一部分と終盤がナ・ボラの「現在」が描かれている。そこでナ・ボラを演じているのがハン・ヒョジュだ。

 このように、ヒロインがキム・ユジョンからハン・ヒョジュに引き継がれている、というキャスティングを見ると、思い出すのが『トンイ』(2010年)だ。

■『20世紀のキミ』ヒロインのキム・ユジョンとハン・ヒョジュ、名作『トンイ』再び

『トンイ』は今でも人気が高い時代劇なのだが、序盤の少女時代を演じたのが10歳のキム・ユジョンで、成人後のヒロインに扮したのが23歳のハン・ヒョジュだった。

 韓国ドラマが好きな人ならば、「キム・ユジョンとハン・ヒョジュ」の組み合わせをよく覚えているはずなので、この『20世紀のキミ』で人気女優の再度の引継ぎに特別な感慨を持つのではないか。私もその1人だ。

 そこには前提がある。

 最近の韓国ドラマは、若い主人公の「その後」を別の俳優が引き継ぐ場合が多い。それは、ノスタルジックな物語設定が増えたことの証明なのだが、同じ人物を演じていても若い俳優と中年の俳優がイメージの上でつながりにくいケースが目立つ。「見た目が別人すぎる」と思ってしまうのだ。具体的な例を挙げるのは控えるが、主人公の「過去」と「現在」を演じる俳優のキャスティングは本当に難しい、と率直に思ってしまう。

 それだけに、キム・ユジョンからハン・ヒョジュに引き継がれていったヒロインのナ・ボラについては、『20世紀のキミ』を最後まで見ていて「居心地の良さ」を感じながら彼女の成長を見ていられた。

画像: Netflix Korea公式インスタグラム(@netflixkr)より