Netflixで配信中の韓国ドラマ『エージェントなお仕事』5話に、地方での映画撮影に立ち会う2人の芸能マネージャー(クァク・ソニョン、ソ・ヒョヌ)が泊るホテルが映っていた。前庭には豊かな緑と人口の川。外観も部屋もかなり豪華だ。撮影タイアップなのかもしれないが、ふつうに泊まったら1泊日本円で25,000円は下らないだろう。劇中の映画主演俳優ではなくマネージャーが泊る部屋である。「韓流第一次ブームから20年、韓流ビジネスは本当に豊かになったんだなあ」と感心した。
私は長らく韓国の地方を取材旅行しているが、利用した宿がたまたま韓国映画の撮影でトップスターが泊ったところだったことが何度かある。
■映画『春の日は過ぎゆく』の撮影でイ・ヨンエが泊った旅館
最初の経験は2001年の江原道(カンウォンド)。俳優ウォンビンのふるさと、旌善郡(チョンソングン)の余糧(ヨリャン)の旅館だった。そこはホ・ジノ監督(『八月のクリスマス』)、ユ・ジテ(『花様年棒〜君といた季節〜』)主演映画『春の日は過ぎゆく』(2001年)のヒロイン、イ・ヨンエ(『宮廷女官チャングムの誓い』)が撮影中に何度も泊ったところだった。広い敷地に韓屋の母屋と2階建ての離れがある。
今から20年以上前なので、1泊4,000円するかしないかだったと記憶している。まぎれもなく安宿である。部屋は清潔だったが質素だった。ここに当時すでにドラマ『火花』や映画『JSA』で凛とした姿を見せていたイ・ヨンエが泊ったかと思うと、彼女に親近感を覚えてしまった。